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言いかえれば、住まいをオープンに、かつ密集した都市に住む以上はプライバシーを保ち、犯罪や災害からいかに身を守るかです。このことは真っ向から矛盾することのように思えますが、実は、実際のプランニングや設計では案外、共通した問題として解決できます。
風通しをよくするには風の入り口と出口をどう確保するかです。このとき視線や火災時の炎などの危険な方向をいかにブロックするか、ということになります。風の通りや視覚、さらには意識の通い合いのルートを見つけると、そこの一端をブロックしたり、仕切ったりすることで確実に安全な家になります。風通しを考えることは、おのずとその侵入口を探すことでもあります。要はそこをブロックさえすれば完全なプロテクトハウスになります。
その意味からも都市での開放的な住まいにするために、逆転の発想として中庭式プランニングがあります。外壁で囲まれ、外からの火を防ぎ、さらに目線も防ぐ中庭です。「コの字形」の中庭プランにするだけでも、今までとはまったく違った安心空間が生まれます。
この中庭、決して広い必要もなく、「風抜きの穴」か「光の井戸」と呼ばれる小さな中庭でも、これがどっこい、家中の空気を抜き、風を通し、しかも防犯はおろか火災時のもらい火も防ぎ、夏などこの庭に面した窓を開けたまま出かけられます。
さらに外壁に風抜きの「プロテクト出窓」を取りつけます。私はこれを「ランドセル式出窓」と名づけ、出窓ながら突き当たりの窓がサッシではなく、壁やガラスブロックで火を防ぎ、その代わりに左右のスリット窓やその下から風を出し入れします。
リフォームなら、使われていない北の暗くじめじめした部屋を一つ取り去り、そこを中庭的な空間として光を取り入れ、残りの部屋の風通しをよくし、家全体を活性化させます。増築ならぬ「減築」手法です。外部に面する方は壁にして、同様にプロテクト出窓などを多用し、すき間から風を出し入れし、視線や音はもちろん、火や賊の侵入を防ぎます。
いずれにしろ、家の外壁面を狙われそうな窓にせず。身が通りそうもないすき間のようなスリット窓にしましょう。視界の悪い高い塀などをつくらず、フェンス程度で外さくをつくり、植木などで死角をつくらないことがコツです。これが私が推奨する火災にも強い都市での自然住宅「Self−defense House」の発想です。