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同法施行に伴い、返済の繰り延べや月々の返済額の減額などの申込件数は「中小企業で約2倍、住宅ローンで約5倍に増えた」(大手行幹部)といい、中小企業や家計の資金繰りの苦しさが浮き彫りになった。
12月末までに条件緩和が決まったのは、中小企業で計3089件(2681億円)、住宅ローンは計109件(17億円)。審査に1カ月程度かかるため、集計に間に合わなかった案件も多いが、「2月上旬までに申し込みの8割程度は緩和を認めた」(三井住友銀行)といい、年明け以降はさらに増えている模様だ。昨年末時点で住宅ローンは大部分で結論が出ていない。返済期間を延ばせば総返済額は増えるため、実際に条件を緩和するか悩む債務者も多いという。
一方、拒否された案件は中小企業が計20件(13億円)、住宅ローンは18件(3億円)と今のところ極めて少ない。
亀井大臣の鳴り物入りで始まった「中小企業金融円滑化法」。別名を返済猶予法。取組状況は公表されるということでしたが、施行後最初の月である昨年12月の実績が公表されました。
住宅ローンについては大手銀行4グループ合計で3,798件、金額で言うと662億円の申込があったようですね。これは多いのでしょうか?少ないのでしょうか?
4グループの住宅ローン残高を調べると、2009年9月末で
・三菱UFJ銀行 16兆円(内、自己居住用13兆円)
・三井住友銀行 14兆円(内、自己居住用11兆円)
・みずほ銀行 11兆円(内、自己居住用10兆円)
・りそな銀行 12兆円(内、自己居住用 9兆円)
ということで合計53兆円。で申込金額が662億円。割合にして0.1%。・・・めちゃくちゃ少ないですね!仮に1月以降でその2倍くらいきているとしてもわずか0.2%ですから、実質的にはほとんど影響はなかった、ということなのでしょうね。
日本の失業率はざっくり5%ですから20人に1人くらいが失業している中で、この件数・金額ですから、立派といえば立派と言えますし、そもそもそれほどニーズがなかったと言えばなかったのかもしれません。
少なくとも住宅ローンに関してはあまりニーズがなかった、ということなのでしょうね。
制度が認知されていない可能性はありますが、とはいえ返済猶予法があるから返済猶予をお願いする、というのはあまりなさそうですよね。給与や賞与が削減され、住宅ローンが払えなくなるから金融機関に相談しにいくのであって、返済猶予法があるから相談しにいく、というのは本末転倒なような気がします。もちろん潜在需要を掘り起こす効果はあるかもしれませんが。
また返済猶予法と言っても、その名のとおり、返済を猶予してくれるだけであって、返済を免除してくれるわけではありません。徳政令とは違いますからね。
具体的には返済スケジュールを、たとえば今まで返済期間が20年だったものを30年に延ばして、毎月の返済金額を2/3にする、というような契約変更をするわけですね。
単純に返済期間を延ばすだけなら悪くない話ですが、問題は返済期間を延ばすと、元本がなかなか減らないので、その分、トータルで見ると、支払う利息金額がかなり多くなってしまいます。そこまでして毎月の返済金額を減らしたいかどうか、という話ですね。
ある意味、借金を将来にツケまわすことになるわけですね。まぁ、日本政府も大いに借金をツケまわしているので、個人がやっていけないわけではありませんが、常識的にはやはりやめておいた方がいいです。
では返済猶予は絶対ダメなのでしょうか?
返済猶予をうまく使う方法としてはこういう手が考えられます。まず返済猶予をして、毎月の約定返済額を減らしておく。その上で、もし余裕が出てくればどんどん繰上げ返済していく、という方法ですね。
毎月必ず支払わないといけない金額は少なくしておき、柔軟性は高めておきながら、とはいえ借金を未来にツケまわすのは不健全ですので、なるべく繰上げ返済をして返済期間を縮め、トータルの支払い利息を減らすのがスマートな住宅ローンの管理方法だと思います。
そのためには条件は2つですね。
1つ目は、繰上げ返済が小額から簡単にできて、繰上げ返済手数料が無料である銀行を選ぶこと
2つ目は、余裕資金ができても支出を増やすのではなく、繰上げ返済にまわすことのできる「鉄の意志」を持つこと
です。前者は最近ではかなり増えてきましたので、選ぶのも容易になってきましたが、後者はその人の性格次第ですね。自信がない方は、「返済猶予」には手を出さないことをオススメします。
(編集部)