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最も多くの金融機関が適用している利率は、21年以上35年以下が2.40%(同2.41%)、15年以上20年以下が2.15%(同2.20%)となった。フラット35の金利は、指標となる10年物国債の金利動向を反映している。一方、フラット35保証型の11月の金利は2.73%。
うまく記事を見つけられませんでしたが、フラット35の人気が徐々に高まりつつあるようですね。主な要因としては、もちろん最近の低金利が背景にありますが、それに加えて「フラット35S」という優遇策が出てきたことが挙げられると思います。
フラット35Sというのは、優良住宅取得支援制度として開始されたもので、省エネルギー性能などの要件を満たす住宅であれば当初10年間の金利が「1%引き」になるというものですね。対象となる優良住宅の数は結構少なく、あまり活用されないのでは、という専門家の意見を読んだような気もしますが、もし購入しようとしている物件が対象になるのであれば、検討に値するものと思います。
上記記事によれば期間35年の最低金利は2.15%ということなので、1%引きということは当初10年間が1.15%になる、ということになります。これは魅力的に響きますね!
ですが。
記者はフラット35Sをもってしても、フラット35の魅力にはやや懐疑的です。その大きな理由の1つは、民間の銀行であれば無料である団体信用保険料が有料である点ですね。記者の計算では概ね「年0.3%」相当になるはずです。
団体信用保険は、住宅ローンを借りた人が万が一死亡してしまった場合に住宅ローンをチャラにしてくれる保険で、遺族には家が残りますから絶対入っておいた方がいい保険です。上記の通り、普通は住宅ローンに無料で付いているのですが、フラット35の場合はこれが有料になっていて、ややダマシの感があります。仮に「年0.3%」を上乗せすると、当初10年の実質金利は1.15%→1.45%となります。
またフラット35は多くの場合、結構高額な借り入れ手数料が別途取られます。借入額の2%程度、という場合が多いのではないでしょうか。これがまた実質金利を引き上げる要因になっていて、仮に民間の住宅ローンの保証料と同じく「年0.2%」換算すると、当初10年間の実質金利はさらに増え、1.15%→1.45%→1.65%ということになります。
それでもまだ十分低いといえるかもしれませんが、10年後にはこの優遇措置はなくなり実質金利は、上記計算でいえば2.65%になります。10年後に「残り25年で2.65%」という金利水準が高いのか低いのかもちろん分かりませんが、少なくともバブル崩壊後の日本の金利をベースに考えれば決して有利とはいえないでしょうね。恐らく、10年後に、再度「10年固定」などで組んだほうがより金利としては低くなると思います。
ただ繰りかえしになりますが、金利動向は誰にも分かりません。ある日、金利が跳ね上がるかもしれません。まぁ、その時には不動産価格も上がっているはずなので何ともなれば物件を売却してしまえばいい、という考えもあるかもしれませんが、低金利を享受しつつ、ある程度、金利を固定したい、という人におすすめなのはミックス金利でしょうね。半分を変動金利に、半分を固定金利にしておく、というものです。これであれば低金利のメリットも、固定金利の安心感もそれなりに享受することができます。
フラット35と民間の住宅ローンとでどちらが得だったのか、というのは最終的には将来振り返ってみないと分かりませんが、金利が低いままでも、あるいは上昇したとしても、精神的なダメージが少ないのはやはりミックス金利に軍配が上がるような気がしますが、どうでしょうか?
ちなみに記者がどうもフラット35を好きになれないのは、上記の通り団体信用保険の問題もありますが、やはり今回の優遇措置のように税金が投入されて民間の住宅ローンが圧迫され、公正な競争が阻害されていることに加えて、天下り先が焼け太っている感がぬぐえないからです。
もちろんユーザーとしては純粋に自分にトクになる住宅ローンを選べばいいのですが・・・。
なおフラット35は取扱金融機関によって金利が異なります。上記の試算では最低金利の2.15%をベースに考えましたが、平均は2.40%ということで、0.25%も差がありますね。ご利用を検討されている方はご注意を。
(編集部)