※当サイトには広告リンクが含まれています。
建物の地震対策には3タイプある
まず知っておきたいのは、建物の地震対策には「耐震」「制振」「免震」の3タイプの構造があることだ。耐震構造は柱や梁などの構造躯体全体で地震の揺れに耐えるタイプで、最も一般的といえる。住宅性能表示制度では住宅の耐震性能を等級1〜3にランク付けしており、最も低い等級1でも今の耐震基準を満たすレベルだ。
揺れを抑える制振・免震
制振構造や免震構造は地震のエネルギーを特殊な装置で吸収し、揺れを抑えることで、建物の倒壊はもちろん、損傷も小さくできる構造だ。耐震構造に比べて対応物件は少ないが、震災によるダメージを軽減するために採用されるケースが増えている。タワーマンションなど大規模な物件での例が多いが、一戸建てで導入する場合もある。
マンションの基礎の部分に設置された免震装置。積層ゴムと呼ばれる素材でできており、地震のエネルギーを吸収して建物に伝わるのを防ぐ
建物が古い場合の耐震診断と補強
今の耐震基準が定められたのは1981年の6月。それ以前の建物は十分な耐震性能を備えていない可能性があり、大地震で倒壊する危険もある。ただ、そんな住宅でも耐震診断をして正しく補強すれば、性能を確保することは可能だ。「診断には自治体が補助金を出してくれるケースも多く、補強工事も数十万円程度から依頼できる場合があります」(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合常務理事・西生建さん)
耐震補強では壁や柱、基礎などをプレート金物で補強するケースが一般的。写真は柱と土台・基礎をホールダウン金物という器具で結合した例(写真提供/エイム)
(中略)
建物の耐震性が確保され、地震対策を施した設備を備えた住宅を選んだとしても、地震の規模によっては万が一、家や家財が被害を受けることもあり得る。そんなとき、頼りになるのが地震保険だ。地震保険とはどんな保険で、保険料はどのくらいかかるのか。また、保険料が割引になるおトクな制度なども知っておこう。
地震による火災は火災保険の対象外
家を買うときに火災保険に入る人は多いが、地震保険の加入率はまだ20%程度(グラフ参照)。ただし、地震で発生した火災は、地震保険に加入していないと保険金が支払われないので注意が必要だ。地震保険の内容は各社共通となっており、保険金額は火災保険の30〜50%の範囲内で、上限は建物が5000万円、家財が1000万円。被害の状況に応じて5〜100%の保険金が支払われる。
※損害保険料率算出機構調べ
地震保険には割引制度がある
地震保険の保険料は建物の構造と所在地により異なり、例えば東京都の木造住宅の場合は保険金額1000万円で保険料が年額3万1300円。耐震性能に応じて右の表のような割引制度がある。また、保険料はその年の所得から控除され、税金が軽くなる。控除対象額は所得税が保険料全額(最高5万円)、住民税がその半額(同2万5000円)だ。
<編集部からのコメント>
天災は忘れたころにやってくるわけで、今回の悲惨な東日本大震災からもなるべく多くのことを学び、忘れることなく今後の教訓にしたいところです。
今回の震災による被害の大部分は津波と液状化によって引き起こされましたので、立地や地盤についての関心が高まっておりますが、もちろん地震の「揺れ」そのものへの備えも必要ですね。
実際、マンションなどで今回の地震の揺れによって倒壊した、という話は聞きませんが、もちろんそれは住宅の耐震性が増したことや、そもそも東北地域の建物に地震への備えができていた、ということもあるのかもしれませんが、多くの建物が倒壊した阪神大震災との違いは「直下型の地震ではなかった」という点も大きいのではないかと思います。あくまで素人考えではありますが・・・。
東日本大震災レベルの広域かつ大規模な地震は当面起こらないのかもしれませんが、直下型の地震は日本に住む限り、どこで起こってもおかしくありません。その点でもやはり地震対策というのは重要ですね。
上記コラムでは建物の地震対策についてまとめてありますので、これから物件取得を検討されている方にはぜひ参考にしていただければと思いますが、まず構造としては以下3種類がある、ということです。
・耐震構造
・制震構造
・免震構造
地震への対応力という意味では、耐震<制震<免震ということですね。免震ともなれば、地盤と建物の基盤の間にゴムなどを入れて地震のエネルギーをカットする、ということです。すばらしいですね!
ただ免震システムでも、確か「縦て揺れ」は防げないという話を聞いたことがありますし、「ゴム」と言われると耐久性が気になりますが、どんなものなのでしょうね?特に後者は今後のランニングコスト・メンテナンスコストにも直結しますので、よく調べておきたいところです。
一方、戸建ての場合は、免震構造などに多額の費用をかけるくらいなら、ほどほどの耐震設計にしておいて、想定を上回る地震が起きてしまった場合は、そのたびに修理・建て替えをする、という方が現実的かつ合理的かもしれません。
そんな時に頼りになるのが「地震保険」ですが、上記コラムによれば、2009年度末時点では地震保険に入っているのは全世帯数の20%前後に留まるようですね。すべての世帯が持ち家というわけではないと思いますが、仮に半分の5割の世帯が持ち家としても、加入率は約4割ということになります。低いと言えるのでしょうね。やはりこの保険はもう「必要経費」と考えてしっかり入っておくべきでしょう。
震災というのは想定外の場所・規模で起こるのが通例です。それはまだまだ我々の観測技術や観測情報の蓄積が十分ではないから、ということですね。自分の住む街で直下型地震に見舞われる可能性は高くはないでしょうけれど0でもありません。そして起きてしまったら、その被害は甚大なものとなります。
やはり平常時にできるかぎりの備えはしておきたいものです。