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東京カンテイ(東京都品川区)がこのほどまとめた11月の分譲マンション賃料(1平方メートル換算)によると、3大都市圏すべてが前月比下落したことが分かった。
特に首都圏(2533円、前月比0.7%下落)の下落基調が鮮明で、前年同月比(3.0%下落)も下落幅が拡大。一方で近畿圏(1718円、同0.8%下落)は、今年の最低値(1月の1723円)を更新したものの、大阪府(1766円、同1.5%下落)の平均築年数が半年分古くなったことが主要因とみられ、基調自体が弱含んだわけではない。
首都圏の低迷要因を詳細にみると、東京都(2924円、同0.6%下落)が安定推移から下落に転じたことが大きく影響している。前年同月比はマイナス3%台で推移し、東京23区(3015円、同0.5%下落)も全域的に弱含み。特に高額物件の落ち込みが顕著だ。
その一方で、神奈川県(2044円、同1.1%上昇)は値上がり。横浜市(2183円、同0.9%上昇)や川崎市が相場を引っ張っており、利便性と割安感が需要を引きつけているようだ。前月と同値の千葉県(1566円)では、東日本大震災以降の浦安市の賃料下落に歯止めが掛かり、また市川市や船橋市といった東京寄りの地域が強含んだことが大きい。ただし、千葉市(1533円)は同0.8%下落している。
<編集部からのコメント>
12月から3月にかけてと言うのは、1年で最も不動産の取引が活発化するときですね。新年度にむけての引越しのシーズンと重なるからでしょうか?それとも不動産業者各社の決算対策と言った業界事情もあるのかもしれません。
ということで読者の皆様の中にも、このタイミングでのマイホーム購入を検討されている方が少なくないかもしれません。そうした方々にとって気になるのが、金利動向や各種住宅ローン優遇政策の取扱に加え、不動産価格の動向ではないでしょうか。
デフレ経済の中で全国的には土地の値段は下がり続けておりますが、そんな状況下で気を吐いていたのが3大都市圏、特に首都圏と中京圏であります。実際、地域によってはリーマンショック後でも上昇し始めたところもありましたが、しかし3月の東日本大震災により、再び冷え込んだ感がありますね。
浦安など、震災の直接的な被害を受けた地域もありますが、もっと影響が大きかったのは、間接的な「臨海地域のイメージ悪化」ではないでしょうか。ベイエリアは人気が高い地域だっただけに余計、反動が大きそうであります。
また、そもそも3大都市圏は基本的に平野部ですから、広義な意味での臨海地域とも言えます。「ここまでは安全でここからは危険」、という線引きはできません。震災直後のアンケートでは、マイホームをやめて賃貸に変えたという人も、少数ながらおられましたね。それも分かる気がします。
そんな向かい風の大きい今年の不動産環境でありますが、それを裏付けるように、上記記事によれば11月の分譲マンション賃料が、3大都市圏全てで前月比下落した、ということであります。
「賃料」ですので、直接的に分譲マンションの価格が反映されているわけではないものの、貸主からすれば、住宅ローンの利息などの費用負担があるわけで、赤字になってまでは貸しにくいと思われます。また借りる人も、賃料と住宅ローン返済額を見比べるものと思いますので、その点では分譲マンションの価格がかなり反映されている、と考えてもよいと思います。
それが下落した、ということはやはり分譲マンションの価格そのものも弱含んでいると考えた方がいいのでしょうね。
ではここで実際の推移を原データから確認したいと思います。
確かに首都圏の賃料は震災以降、ズルズルと徐々に下がり始めているように見えますね。
ただしこうした動きは、決して悪い面ばかりではありません。むしろマイホーム購入を決めてしまっている人や、永住目的の人にとっては歓迎すべき傾向と言えるのかもしれませんね。少なくとも記者がこれからマイホームを購入するなら、マイホームの平均的な値段が下がることは歓迎であります。
加えて、このグラフの開始地点である2007年1月と比較すれば、それでも首都圏と近畿圏はプラスを維持しているようにも見えます。一喜一憂するほどの変動はなく、むしろ「概ね安定している」と捉えるべきなのかもしれませんね。
いずれにせよ、せっかくの(?)デフレ経済なのですから、マイホームについてもより手が届きやすくなることを期待したいものです。