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<編集部からのコメント>
現在の住宅市場の盛り上がりというのはどうなっているのでしょうか?
直感的には盛り上がる、あるいは徐々に盛り上がりつつあるのでは?と思います。と言うのも、住宅ローン金利は史上最低水準まで下がっていますし、住宅ローン減税も延長が議論されているものの、とりあえず現行の枠組みは徐々に縮小していきます。
さらに消費税増税がほぼ確実になり、加えて、東日本では大震災直後の買い控え傾向もだんだん縮小しつつあるのではないでしょうか?
そんなわけで、住宅市場を取り巻く外部環境は追い風が強く吹いている状態であり、それに伴い住宅市場も当然、盛り上がってきているかと思いきや・・・先日、発表された不動産経済研究所の調査によると、首都圏の9月のマンション供給戸数は前年比9.3%減に留まり、契約率も69.3%と、好不調の目安と言われる70%をほんの少し下回ったようです。これは13ヶ月ぶり、ということですね。
70%を下回ったといっても誤差の範囲ですし、そもそも供給戸数が減れば盛り上がりに欠け、自分にピッタリの物件に出会いにくくなるという、需要側ではなく、供給側の問題という可能性もあります。同様に魅力的な物件が少なかったという事情もあるのかもしれません。
したがって、これをもって住宅市場に変調の兆しが出てきたと捉えるのはさすがに早計だとは思いますが、外部環境を考えれば意外な結果とは言えそうです。
さて、それと似たような報道が上記の通り日経新聞でなされておりますが、こちらは同じ不動産経済研究所の調査に関して、9月の首都圏のマンションの平均販売価格が前年同月に比べ3.4%下落し、2012年度の上半期でも、前年同期比1.9%のマイナスになったということです。
これは不動産市場の盛り上がり云々とはまた別の動きですね。不動産市場が盛り上がり、買い手の需要が旺盛であっても、住宅の販売価格が下落することは可能性としてはありそうです。
上記記事に掲載されているグラフを見る限り、マンションの平均価格の下落傾向が顕著とは必ずしも言えなさそうですし、誤差の範囲内の可能性もありますが、あえてこうした販売価格の下落に理由をつけるとすればどうなるでしょうか?
記事では不動産経済研究所のコメントとして「景気の低迷で消費者の購買力が落ちており、各社が価格を抑えている」と紹介されています。確かにそうかもしれません。
ただ、景気の低迷はバブル崩壊以降ずっと続いているわけで、そうした中で首都圏のマンション価格が下落し続けているかと言われれば、上記グラフを見る限り必ずしもそうではなさそうです。2007年の上昇は景気に連動しているものかもしれませんが、リーマンショック後でも2010年には価格が上昇しており、一概に景気のせいとばかりは言えない気がします。
とするとそれ以外の理由はどうでしょうか?たとえば、デフレ経済により値段が自然と下落している、というのはあるのかもしれません。少なくとも円高により輸入素材の値段は確実に低下しているのではないでしょうか?
あるいは少子高齢化により、そもそも購入者のニーズが変わり、ファミリータイプからコンパクトタイプへと需要が移り、結果的に平均価格が低下傾向にあるのかもしれません。
上記記事ではデベロッパー各社の対応として「郊外」や「小ぶり」の物件の開発に力を入れているとのことですが、仮にそうした購入者のニーズの変化があるとすれば「小ぶり」は良いとしても、「郊外」はコケる可能性がありますね。
もちろん住宅購入者からすれば、住宅価格が低下することも、多様な物件の供給がなされることも大歓迎ではあるのですが。
とは言いつつ、繰り返しになりますが、3.4%の下落にせよ、1.9%のマイナスにせよ誤差の範囲内です。また同じ時期に発表された、東京カンテイによる、9月の首都圏の中古マンション価格は9ヶ月ぶりに上昇した、とのことです。
冒頭ご案内したように住宅市場の外部環境自体は、住宅ローン金利の低下など、強い追い風が吹いている状態ですね。こうした中ではやはり住宅価格がどんどん下がっていくということは・・・考えにくいのではないでしょうか?
今後の価格動向や販売動向を正確に予測することはできませんが、多少、弱気な数字が出てきたとしても予断を持たず、平常心でマイホーム選びを続けていただければと思います。
周りが盛り上がろうが、盛り下がろうが、結局一番大切なのは自分や家族にとってベストな物件に出会えるかどうか、ですからね。