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<編集部からのコメント>
今週の日経新聞を読んでいて、おや!?と思った方は少なくないかもしれません。かく言う記者もまさにその1人だったわけですが、5月の首都圏のマンション発売戸数が、前年同月比で5割増と大変景気のよい状況を報じる記事の中で、このような一文があったわけですね。
・来年4月の消費税率の引き上げに伴い、一定条件を満たしたマンションの今年9月までの契約には5%の税率と住宅ローン減税拡充の2つの恩恵が適用される。
・・・本当ですか!?サラっと書いていますが、もしこの「2つの恩恵が適用される」という事が事実なら、うまくいけば数百万円も住宅購入コストを軽減させることができます。ここ2、3年で住宅購入を検討されている方は、何が何でも9月までに契約した方がいい、ということになってしまいますね。
一方、当サイトのこちらのコラムでご案内したように、「新しい住宅ローン減税が適用されるのは、実際に増税となった物件購入の場合のみ」だったはずです。もし当方の認識が誤っていたり、不足していたりするなら、早急に訂正する必要があります。
>>>新しい住宅ローン減税(控除)、適用は増税物件のみ
さらに日経新聞の記事を読み進めると、このように説明されていました。
要するに、9月末までに契約を済ませ、内装を変える工事をし、入居を来年4月以降にすれば、5%の消費税と、新しい住宅ローン減税の「2つのメリットを同時に得られる」と言い切っていたのですね。
記者の今までの理解とは全く異なるものでして、ここまでくると「おや!?」というよりも、正直、焦りのようなものまで感じ始めたのでした・・・。
もちろん、日経新聞の方が間違っているのでは?という一抹の疑問も感じないではありませんでしたが、そこは天下の日経新聞であり、この記事も総合面に掲載されているその日の最重要トピックスの1つですから、裏取りもバッチリなはずで、複数のチェック・校正も受けていて、そして何より憶測記事や観測記事ではなく、根拠やルールが明確な政策運用にまつわる話ですからね。間違えるはずがありません。
記者も、自身の不明を恥じ、悶々とした数時間を過ごしていたわけですが、その後、再度、当該記事をチェックするとこのような告知が・・・
ここまで読者のみなさんを引張ってきて恐縮ですが、結論から言えば、日経新聞の間違い・勘違いであり、やはり「5%の税率と住宅ローン減税拡充の2つの恩恵を同時に受けることはできません」ということですね。
そんなわけで、今週の日経新聞の記事を読んでドキっとしながらも、その後の訂正記事を読み漏らしている方は、上記内容を御確認の上、ご安心いただければと思います。
なぜ天下の日経新聞ともあろう大メディアが、こんなレベルが低く、恥ずかしく、一方で影響が大きそうな書き間違いをしたのか気になるところですが、しかし、逆に天下の日経新聞ですら勘違いしていたということは、同じ様な勘違いをしているユーザーや住宅業界関係者は少なくないのかもしれませんね。
もしかすると住宅やマンションのモデルハウス・モデルルームでは、「今、契約して内装工事をすれば『W減税』ですよ」なんて決めゼリフがささやかれているのかもしれませんし、それこそ今週の上記日経新聞の記事を持ち出して、故意かどうかはともかく、セールストークに利用している営業マンもいるかもしれません。
「日経さんにはこう書かれていますね」くらいの引用であれば結果的に誤りであっても多少の免責はされるでしょうし、それこそ、新聞のコピーを相談場所近辺に積んでおくだけでも一定の効果がありそうです。
セールス現場の実態がどうかは分かりませんが、結論から言えば繰り返しになりますが、「新しい住宅ローン減税が適用されるのは増税物件のみ」です。さすがにそこは、日本が誇る(?)有能な財務官僚に抜けはありません。
・・・と言うより、そもそも、記者もそうですが、新しい住宅ローン減税が導入されると聞いたときに真っ先に思い浮かんだのはこうした「W減税の抜け穴」でして、もしそうした抜け穴があれば、需要と供給が一気にそこに集中し、本来の住宅ローン減税の目的である、「消費税増税後の住宅購入の落ち込みを防ぐ」という趣旨を根底から揺るがしてしまいます。
そうした抜け道をふさぐのはもう、小学生でも分かる、前提中の大前提条件ですね。
タイミング的にはそろそろ「消費税5%」か、「新しい住宅ローン減税」かを選べる最終段階となっています。実際のところ、どちらを選ぶにせよビックリするような差はないとすれば、あまりそこに拘泥する必要はないとは思いますが、後で慌てたり、後悔することはないよう、正しい知識で、正しく住宅ローン減税の仕組みを理解していただければと思います。
>>>新旧住宅ローン減税(控除)、どっちがお得?
参考になさってください。