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<編集部からのコメント>
いつも切れ味鋭い住宅ローン関係の記事を執筆されている、住宅ローンアドバイザー・淡河範明氏のこちらのコラム。記者もいつも勉強させていただいておりますが、今回の内容も他にはないユニークな視点で興味深いです。
マイホームの購入や資金計画の策定にあたって、最初で最大の課題といえば予算ということかもしれません。つまりいくらの家を購入するか、ということですね。
入門書を見れば「住宅ローン返済額は年収の○○%まで」とか、「住宅ローンの借入額は年収の○倍まで」などなど、さまざまなアドバイスがあります。当サイトでも何度か取り上げたことがあると思いますが、引っ張り出してくるとこういった記事をご案内しております。
>>><年収別>マイホームの値段、頭金、住宅ローン残高は?
>>>住宅ローンの返済額、手取り収入のいくらまでなら大丈夫?
>>>年収の何倍まで借りられるの?住宅ローン借入限度額について
もっと多いかと思いましたが、意外とそうでもないですね。別テーマの記事の中で取り上げているケースも多そうではありますが。
さてこうした記事はいずれも、今の年収から住宅ローン借入可能額、引いては物件価格を計算しているわけですが、今回ご紹介する上記コラムはそれとは全く別のアプローチをとっておりまして、一般的な家計の生涯所得から、一般的な生活費や社会保険料、老後資金などを差し引き、残った金額を「住宅関係費」に充ててよい額、としています。
気になるその具体的な金額は以下の通りですね。
結論から言えば、住宅関係費に4,054万円充ててOK、ということになっています。「意外に大丈夫だな」と思った方は要注意です。というのも住宅ローンを組めば、利息の分、目安として物件価格の1.5倍くらい払うことになると言われていますし(低金利の今はもう少し少なくなっていると思いますが)、それ以外にも税金や維持費などを加味すると、物件価格に充てられる金額はもっと減ります。
では具体的にいくらかというと、上記記事では「物件価格2,200万円」と試算しています。
つまり一般的な家計が、一般的な支出を行うと、2,200万円までの物件しか購入できない、と指摘しているわけですね。
地域によって物件価格には大きなバラツキがあるものと思いますが、こちらの記事でもご紹介した年収別の住宅購入価格は下記の通りとなっています。
>>><年収別>マイホームの値段、頭金、住宅ローン残高は?
・400万円未満 : 3,030万円
・400万円台 : 3,265万円
・500万円台 : 3,596万円
・600万円台 : 3,860万円
・700万円台 : 4,143万円
・800万円以上 : 4,408万円
・1,000万円以上 : 5,208万円
一般的な家計収入は400万円〜600万円のゾーンだと思いますので、そのレンジを見ると「3,000万円台半ば」ということですね。ちょっと高めではありますが、何となく実感に合っている気もします。
現実的にはみなさん、3,000万円を大きく上回る物件を購入する一方で、生涯収入から逆算すると2,200万円の物件しか買えない。一体、どちらが正しくて、どちらが間違っているのでしょうか?
記者が思うにこれは、「どちらも正しい」ということだと思います。当たり障りのない意見で恐縮ですが・・・。
上記FP氏の計算の前提はこうなります。
1.平均以上に収入を増やす努力はしない
2.生活費、教育費、老後資金は一般的な金額を維持したい
3.残った金額で住宅を購入したい
ということで、優劣をつけるとすれば、こんな価値観、ということになります。
・平均並みの収入維持 > 一般的な支出維持 > 住宅
逆に多くの方はそこから導き出される金額以上の住宅を購入しているわけで、こうした価値観を持っていると考えられます。意識的か無意識かは別ですが・・・。
1.一般的なレベルの住宅を購入したい
2.平均以上に収入を増やす努力をしてもよい(共働き、パート、副業etc)
3.それでも足りなければ、生活費、教育費、老後資金を削っても良い
つまりこういう価値観ですね。
・住宅 > 収入増加努力 > 支出切り詰め
繰り返しになりますが、これはあくまで価値観の問題ですので、どちらが正解ということはありません。収入を増やす努力や支出を最終的に切り詰める覚悟をしてでも、納得のいく住宅を購入したいかどうか、という問いに対し、Yesの方はそのまま進み、Noの方は少し止まってライフプランを再考してみる、ということでしょうね。
かく言う記者は・・・多くの方と同様にやはりYesでしょうね。何十年も住み、人生の中の多くの時間を過ごすマイホームは・・・優先順位を高めてもいいと思います。
その分、少なくともお小遣いが減る覚悟は必要そうですが(笑
さて、どういった考え方をしても価値観の問題なので、自分が正しいと思ったものが正解なわけですが、あえて問題提起をするとすれば、そうした覚悟がないまま予算を決めているケースですね。つまりこんな考え方です。
1.平均以上に収入を増やす努力はしない
2.生活費、教育費、老後資金は一般的な金額を維持したい
3.一般的なレベルの住宅を購入したい
上記コラムでは、一般的な収入で、一般的な支出だと、一般的なマイホームは購入できないことを示唆しているわけで、短絡的に「人並みの生活をしていれば人並みな家を買ってもいいだろう」と感じている方は、資金計画に甘さがあるかもしれません。
銀行で住宅ローンを申し込めば、借入可能額を知ることはできますが、借入可能額の範囲内であれば一般的な生活が楽しめる、というわけでは必ずしもない、ということですね。
もちろん、銀行がそうした住宅ローン利用者の価値観までケアしてくれることは一切ありませんので、やはり、こうした判断はマイホーム購入者が事前にしっかり自分や家族の考え方と向き合った上で決めるべきものです。
これから住宅購入を検討されている方は参考になさってください。