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<編集部からのコメント>
住宅購入に関してさまざまな追い風が吹いているのがここ1、2年の状況です。住宅ローンの低金利、住宅ローン減税・住まい給付金等の政策支援に加え、住宅資金の非課税贈与枠の拡充も追い風の1つに加えられるかもしれません。
子や孫に住宅資金を贈与する場合、各種条件を満たせば上限金額まで非課税となるものですが、2014年の上限金額はこのようになっています。
・省エネ住宅の場合 : 1,000万円
・それ以外の住宅の場合 : 500万円
これだけの金額をポンと払える家庭というのはそう多くはない点を考慮すれば、ほとんどのケースで贈与資金の大半を非課税にできそうですね。
一方、住宅購入に関して逆風となるのが不動産価格の上昇です。全国的に主要都市の地価が上昇傾向にあるのはみなさんよくご存知のことだとは思いますが、最近では人手不足や円安による資材価格の上昇により、建物価格も上昇傾向にあると言われています。
つまり土地も建物も上昇しつつあるということでWパンチですね。
ただしこうした動きが逆に購入予定者の背中を押しているのだとすればこれも短期的には追い風と言えるのかもしれません。
では具体的にこれらの動きが住宅購入予定者の資金計画にどれだけ影響を与えているのか気になるところですが、リクルート住まいカンパニーが実施した「住宅購入・建築検討者の実態調査」では、住宅の購入・建築を検討している人を対象に、検討にあたっての予算や頭金の状況、検討する物件の種別、検討にあたって重視する条件などが調べられていますので、早速、その結果をチェックしたいと思います。
まず「購入・建築予算の上限金額」はこういうことですね。
これは7大都市圏=首都圏、札幌市、仙台市、東海、関西、広島市、福岡市=対象にしたものですが、平均値は3,803万円ということですね・・・結構な金額ですね!
ただしこうした金額の平均は高額物件が全体を引き上げることが多く、より実感に近いと言われる「中央値」を探すと・・・「3,500〜4,000万円未満」のレンジ内にあるということで、平均値とそう変わらないですね。ナルホド。
思ったより調査対象者のみなさんのご予算は多いですね。お見それいたしました・・・。
そして気になる予算金額の推移ですが、前年の3763万円から3803万円へちょうど40万円ほど上昇しています。約1%ということですね。
「1%も上昇している」という言い方もできるのかもしれませんが、ただ、上記の通り地価や建物価格が上昇傾向にあることに加え、4月からは消費税が増税されることを考慮すれば、自然体でももう少し上昇しそうな気がします。
昨年9月の調査ということで、ちょっとそこから時間が経ってしまっているのも要因かもしれませんが、そうした今後の住宅購入コストの上昇を十分織り込まれていないのだとすると実際の購入段階で慌ててしまうかもしれませんね。ご注意ください。
次にこの平均値を地域別に分解するとこうなります。
首都圏になるとこの「購入・建築予算の上限金額」はさらに上昇し、4,179万円となっています。見事に4,000万円越えですね!
平均値と比較すれば400万円近く高くなるわけで、首都圏在住の方は複雑な気分かもしれませんが、ただし、前年の数字と比較すれば、4,268万円から4,179万円へ少し減少している点が印象的です。
もちろん前年から不動産価格が上昇していることはありえませんので、これはやはり、住宅購入を検討される方の裾野が広がってきた、ということなのでしょうね。だとすればポジティブに捉えることもできそうです。
実際、首都圏の推定購入検討者は前年の80万人から85万人へ約6%増えている計算となっています。
一方、それ以外の地域は予算金額の増加が著しいエリアが多いですね。
・関西 : 3,359万円 → 3,589万円 = +230万円
・札幌 : 2,826万円 → 3,134万円 = +308万円
・広島 : 3,122万円 → 3,252万円 = +130万円
・福岡 : 3,019万円 → 3,247万円 = +228万円
こうして並べてみると壮観なくらいに金額が上昇しています!これもまた、住宅購入の裾野がエリア的にも広がってきた証左と捉えることができそうです。
また間接的ではありますが、やはり全国的に不動産価格は上昇しつつあると言えるのでしょうね。ご注意ください。
ちなみにこの予算金額を物件のタイプ別に切り分けるとこうなっているようです。参考にしてみてください。
さて、この調査結果の中で2つ目に取り上げるのが「親や親族からの資金援助」です。まずそもそもどれくらいの方が援助してもらえると考えているかと言うとこうなっております。
全体的には「援助してもらえる」と思っている方は実は4割に留まっている、ということで少数派ですね。ただし昨年の36.6%から5%近く上昇しているのは、やはり冒頭ご案内したような「住宅資金の非課税贈与枠の拡充」が影響している面があるのかもしれません。
ちなみに内訳を見ると20代から30代、40代と年齢が上がるにつれて親族への期待がどんどん減少していくわけで、健全・自然だと言えそうです。
一方、地域別に見ると、 親族からの援助を最も予想しているのが首都圏ということで意外感があります。首都圏では45.1%であるのに対して、最も低い広島市では35.3%と10%以上の差があります。
首都圏はそれ以外の地域に比べれば家族関係が希薄、というイメージがありますが、それが資金援助姿勢に結びついていないとすれば、首都圏は他のエリアより不動産価格が相対的に高いことに加え、ローカル地域であれば資金援助より同居の方が選択肢として現実的、ということもあるかもしれません。
上記のような都市圏を「ローカル地域」と捉えるのはやや違和感がありますが・・・。
そして具体的な援助額の期待値はこのようになっています。
平均は834万円ということで、前年の842万円よりは少し控えめになったものの、引き続き結構な金額となっています!
ちなみにこちらはかなり地域差があり、最高の関西=904万円から最低の札幌市=520万円まで、実に400万円近いギャップがあります。不動産価格のギャップが影響しているとは思いますが、とはいえ比率で言えばここまでの差はなく、「地域性」ということなのですかね・・・。
ただし関西人の名誉のために申し添えておきますと、親からの援助を期待する割合は36.1%と、札幌の36.8%をわずかに下回っております。「もらえる人はもらえるだけ」というと身も蓋もないかもしれませんが。
そして、この調査結果の中で最後に取り上げるのが「頭金」です。
平均の頭金は何と1,403万円ということですね!前年の1,352万円から約50万円増えております。アベノミクス効果、というよりは、堅実な考え方を持つ人が増えていることに加え、住宅購入者層の平均年齢の上昇がそのまま頭金の増加につながっているような気がするのですがいかがでしょう?
ちなみに上記の通りではありますが、年代別に分けると頭金の平均値はこうなります。
・20代 : 839万円
・30代 : 1,057万円
・40代 : 1,597万円
・50、60代 : 2,200万円
いかがでしょう?50、60代が全体平均を引き上げているのは間違いありませんが、それでも各世代の平均値もなかなかの金額となっています。
これが実像と合っているのか、それとも多少乖離しているのかは分かりませんが、仮に実像に近いのだとすれば、みなさんかなり計画的に、堅実に、しっかりと住宅購入の準備を進められている、ということですね。
ドキっとされた方は今すぐ、家計と支出を見直してみてはいかがでしょうか。参考になさってください。