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<編集部からのコメント>
いよいよ4月となり、消費税が8%に引き上げられました。
住宅に関してはこれまで何度もご案内してきたように、そもそも消費税は土地にはかからず建物にしかかからないことに加え、中古の場合もほとんどかかりませんので、イメージほど影響は大きくありません。
つまり消費税は「新築物件の建物部分にしかかからない」ということですね。
さらに増税の影響を和らげ、過大な駆け込み需要が起こることを避けるために、この4月から住宅ローン減税の拡充や「すまい給付金」が創設されました。これにより増税の影響はほとんどなくなったと考えていいと思います。
もっと言ってしまえば、こうした大盤振る舞いによりむしろ、増税後の方が減税メリットが大きいという、ウソみたいな本当の話がシンクタンクによって指摘されております。
>>>「住宅ローン減税+すまい給付金」vs「消費税増税」 どっちが得?
それが正しいのだとすれば、少なくとも増税を理由にした駆け込み需要は全く起こらないことになりますが、実際には・・・やはり住宅業界にも相応に 駆け込み需要が起きたようですね。その証拠にハウスメーカーの売り上げは一足早く落ち込んでいます。
確かに制度面では必要十分な手当てがされたわけですが、決まったのが遅かった上に、この「住宅ローン減税+すまい給付金」の仕組みが複雑でなかなか世に広まらなかった、というのが駆け込み需要を防げなかった理由、ということになるのでしょうね。
では具体的にこの駆け込み需要の実態がどうなっているかと言うと、参考になりそうなのが住宅金融支援機構が定期的に発表している住宅市場動向調査です。その2014年3月発表の資料ではこうなっています。
調査タイミングを勘案して、「4月から12月まで」の新設住宅着工件数を10年間で比較しているわけですが、2006年までは同時期に100万軒前後の着工があったわけですが、改正建築基準法やリーマンショックを経て60万軒前後に落ち込んだあと、最新の2013年4月〜12月期は77万軒まで回復してきた、という流れですね。
問題は、前期(68万軒)から見て約9万軒増加しているわけですが、この中のどれだけが駆け込み需要であり、どれだけが通常需要か、という点です。リーマンショック前まではそれでも80万軒前後あったわけで、増税などのキッカケがあったにせよ、そうした水準まで徐々に近づいているのだとすれば2014年度の落ち込みはそれほどないことになります。
一方、少子高齢化により需要そのものが低下してきており、前年の68万軒前後が適正水準なのだとすれば、9万軒の増加は丸々、駆け込み需要ということになります。
それが正しいのだとすれば、今期は前倒しされた9万軒の需要が蒸発し、68万−9万=59万軒まで落ち込むことになります。77万→59万ということになれば約23%の減少ということですね!水準としては十分起こりえる減少幅なのではないかと思います。果たしてどうなるでしょうか。
ただし、そうした駆け込み需要の反動減が起きたとしても、それがすなわち消費者にとってマイナスかと言われれば決してそうではありません。
旅行も飛行機代も宿泊代も洋服もクリスマスケーキもハイシーズンは驚くほど高く、逆に閑散期は驚くほど安くなります。有名レストランの食事も夜とランチタイムを外し、たとえば13:30ごろにいけば、おいしい料理をとてもリーズナブルにゆったり楽しむことができます。
それほど販売サイドにとっては顧客がまとめて押し寄せて来られると厄介なものであると言える一方で、顧客の方も「ハイシーズンンの値段が高いのは致し方ない」と許容し、販売サイドに対して過剰な利潤を提供する機会を与えていると言えるのかもしれません。
つまりは実際に増税が始まり、さらに次の増税までにまだ時間的余裕がある今というのは、意外に「住宅の買い場」であるといえるかもしれない、ということです。
意外にも何も、上記の通りむしろ住宅購入支援メリットは総額で増加している可能性も考えれば、合理的に言っても「今は買い時」と言える気もしますが。
では住宅業者や消費者、そして専門家の代表としてファイナンシャル・プランナーの方々は実際にどのように感じ、考えているのでしょうか?この住宅金融支援機構の調査ではその点もカバーされておりまして、なかなか秀逸です。まず住宅業者の見通しはこうですね。
全体的にはこういう分布ということですね。
・増加する : 20.3%
・変わらない : 49.0%
・減少する : 30.7%
意外に分散している気もしますが、トータルでは受注・販売が「減少する」と答えた業者が、「増加する」と答えた業者より10%多く、今期の見通しについて弱気な感触を持っている業者が多いことが分かります。
では次に消費者はどうかと言うとこうですね。
何とこちらは圧倒的に強気ですね!こういう割合です。
・買い時だと思う : 75.7%
・買い時ではない : 24.3%
買い時だと思う方が3/4を占めており、まだまだ消費者の住宅購入意欲が強いことが伺えます。もちろん、今が買い時だからと言って自宅を2軒も3軒も買う人はいませんのでこの「買い時感」が即、売り上げ増大につながるわけではありませんが、それでも住宅市場にとっては勇気付けられる結果になっていると言えそうです。
ちなみに買い時だと思う理由として最も多いのは「今後消費税が10%に引き上げられるから」というもので、引き続き増税に伴う駆け込み需要が健在であることが示唆されています。
では最後に専門家代表としてファイナンシャルプランナーの意見はこうなっています。
こちらは消費者の方々の回答結果と比較すれば、ぐっと落ち着いたものでこのような結果になっています。
・買い時だと思う : 11.4%
・やや買い時 : 45.5%
・どちらでもない : 43.2%
・買い時ではない : 0.0%
もちろんファイナンシャルプランナーは投機や一攫千金を勧めるわけではなく、健全な家計管理をサポートするのが仕事ですから、買い時かどうかという判断も増税云々といった外部環境によって左右されるものではなく、フリーコメントにあるように「それぞれのライフプランによる」と回答するスタンスが望ましいあり様ではないかと思います。
そうしたスタンスがあるにも関わらず、「買い時派」が6割近くいる一方で、「買い時ではない派」が全くのゼロというのは興味深いですね。つまりは専門家も過半は「増税後の今は買い時」と判断している、ということです。そう考えるとなかなか強気ですね!
面白いのはその「買い時」と考える理由で、96%とダントツの高さになっているのは10%への増税ではなく「住宅ローン金利の低水準」という回答です。逆に10%に上がるからと答えた方はわずか16%に留まっていることが分かります。
1回だけの数%の違いより、20年や30年続く住宅ローンの金利変動による影響の方がよっぽど大きいと考えている、ということですね。
いずれにしても、2014年度の住宅市場は、業者はやや弱気であるものの、消費者・専門家ともに相応に強気であり、それがそのまま住宅販売に結びつくのであれば、反動減も早期に解消される可能性が高いですね。
記者自身は上記の通り「閑散期こそ顧客に有利な取引ができる」という考えからこの時期の住宅購入にはポジティブですが、もしまた住宅市場が盛り上がるようであれば、そうした「閑散期ゆえに」という前提はあっさり覆ることになります。
果たして今年の住宅市場はどうなるのでしょうか?少なくとも、ご検討の方は一足早く動き出しておいた方がよさそうです。
もちろん、「一生住みたい!」と思えるような物件に出会えることが何より大事なのは言うまでもありませんが・・・参考になさってください。