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<編集部からのコメント>
当サイトにおける住宅ローンの比較軸はいくつかありますが、その中でも金利や手数料と並び重視しているのが繰り上げ返済に関する利便性です。
つまりは住宅ローンの繰上げ返済を強くオススメしているわけですが、その理由はもちろんシンプルで、繰上げ返済を進めれば進めるほど支払うべき利息額が減り、借り入れ期間も大きく短縮できるからですね。
その威力はと言うと、たとえば3,000万円×30年×1.5%の住宅ローンの毎月返済額は10万4千円です。
ここに毎月2万円、追加して繰上げ返済するとこのようになります。
・利息削減額 : 148万円削減
・借り入れ期間 : 5年9ヶ月短縮
どちらもなかなかの効果ですが、やはり借り入れ期間が短くなることに魅力を感じる人は多いのではないでしょうか。
ではもう一声がんばって毎月3万円繰り上げ返済するとこうなります。
・利息削減額 : 202万円削減
・借り入れ期間 : 7年11ヶ月短縮
より目覚しい効果があることが分かりますね。「毎月3万円追加で払うのは難しい」と思われるかもしれませんが、上記借り入れ条件は「ボーナス払い」を含めていません。仮にボーナスが出て、そこから毎年36万円繰り上げ返済を進められればほぼ同じ効果が得られます。
昔と違って今はボーナスの金額が不安定になっていますので、正社員であってもあえてボーナス払いを選ばない人が増えていると思いますが、景気に波があるように企業収益にも波があり、そうした方々にも運が良いときには期待以上のボーナスが出る場合があると思います。
そういう時こそ繰り上げ返済のチャンスですね。繰上げ返済はあくまで住宅ローン利用者の「権利」とでも言うべきもので、「義務」ではありませんから、まさに移ろいやすいボーナスにうってつけの返済手段と言えます。
仮になかなかボーナスが出ない世帯でも、配偶者の方がパートタイムで働いたり、アルバイトを少しするだけで月3万円くらいは余裕で稼げるのではないかと思います。時給1,000円×5時間×6日=月3万円ですからね。十分、達成可能なのではないでしょうか。
また繰上げ返済が重要である理由の1つとして、当初の返済条件はある程度の余裕を持たせている、という点が挙げられます。たとえば、頑張れば月13万円くらいは返済できるけれど余裕を見て毎月の返済額は10万円に抑えておく、といったケースです。
これはもちろん銀行にとっても利用者にとっても必要な配慮ですね。というのも将来、収入が減ったり、あるいは支出が増える可能性がある中で、あまりにもキャッシュフローがタイトだと、たちまち住宅ローンの返済が滞ってしまうからです。特に支出については一般的にはライフステージの変化に伴い確実に増えていきますのでそうした点をあらかじめ考慮しておく必要がある、ということです。
ただ裏がえして言えば、そうした余裕を持っている分、特に借り入れ当初は余剰資金が出やすく、資産(預金)があるのに負債(住宅ローン)がある状態というのはばかばかしいですから、やはり繰上げ返済が大切になってくる、ということです。
そんなわけで繰り上げ返済については「悪いことは1つもない」と言い切れるわけですが、たまに「繰上げ返済しすぎは良くない」という主張を目にします。その主な根拠はこんな感じです。
1.手元にいくらかの生活費を残しておくことが必要だから
2.繰上げ返済して住宅ローン残高が減ると、その分、住宅ローン減税のメリットも減ってしまうから
いかがでしょう?
1については分からなくもないですが、まぁ、生活費3ヶ月分や6ヶ月分もあれば十分なのではないですかね?ポイントとなるのは「何となく不安だから」と漠然と預金を保持することではなく、明確な基準を設けて、それを上回れば繰上げ返済するということを習慣づけることですね。
繰り返しになりますが、資産(預金)があるのに負債(住宅ローン)がある状態ほどばかばかしいものはありません。
2についても確かにその通りではありますが、住宅ローン減税のメリットはMax1%である一方で、住宅ローン利息は低くても概ね1%前後であり、ほぼ拮抗している状態です。であればあまり気にせずに繰り上げ返済した方がよさそうですね。
さらに、「Max1%」と書きましたが、これは住宅ローン減税は言葉どおり減税であるために、毎年支払っている税金が減税の上限となります。そして住宅ローン減税額を使いきれるレベルまで税金を払っている人はそれほど多くないという指摘も耳にします。
ケースバイケースだとは思いますが、だとすればますます住宅ローン減税額より、住宅ローン利息の方が多い方が増えるわけで、そういう場合にはやはり積極的に繰り上げ返済を進めたほうがいいということですね。
さて。
上記でご紹介したコラムはタイトルが「本当に賢い住宅ローン返済方法は、繰り上げしない・長く借りる なぜ?」というなかなか刺激的なものですが、その根拠は1か2かどちらかと言うと、実はそのどちらでもない・・・
3.住宅ローンより高い金利でお金が運用できるところにお金を入れたほうが将来手元に残るお金は多くなるから
というものです。いやまぁ、確かに理屈の上ではそうですが、では実際に住宅ローンより高い金利で確実に運用できる人はどれくらいいるのでしょうか?
資産運用の基本としてリスクとリターンは比例します。つまりリターンが高ければ高いほどリスクも大きいということですね。
もちろん実際には理論と異なり、リスクとリターンが比例しないケースも多くありますが、それは「リスクが低い割りにはリターンが高い」というのでは残念ながらなく「リターンが低い割りにはリスクが高い」というものです。
具体的なリスクとリターンの関係性のイメージですが、ノーリスクの資産の代表は国債で、この金利が足元では10年=0.6%程度です。仮に10年=1.6%のリターンを狙うなら(+1.0%)、シンプルに言えば元本が−1.0%となるリスクを許容しないといけない、ということですね。
であればいくら高いリターンが期待できたとしても、着実に繰り上げ返済にまわそうと思われる方が多いのではないでしょうか。仮に投資に失敗して投資元本が吹っ飛んだとしても、住宅ローン元本はビタ一文まかりませんからね。
さらにもう少し理論的に説明すると、各種金融商品のリスクとリターンの関係を図示すると、よほど悪どい商品や運用が下手な商品でない限り、リスクとリターンはきれいに右肩上がりのグラフに並ぶのですが(リスクが高まるほどリターンが高まる、という意味です)、その中で唯一、「ローリスク・ハイリターン」というありえない形で図示される商品があります。
それがまさにこの「住宅ローンの繰上げ返済」なのですね。 繰上げ返済に関してはもちろんリスクは全くありませんので「ノーリスク・ハイリターン」と表現してもいいかもしれません。
有名なフレーズで「住宅ローンの繰上げ返済は最良の資産運用である」というのがありますが、これにはこうした理論的な裏づけがあるのですね。
そうしたわけで「繰上げ返済しすぎはよくない」という主張のほとんどが「風評」ですので、住宅ローン利用者の方は安心して、自信をもって、積極的に繰り上げ返済を活用していただければと思います。
5年後、10年後にきっとありがたみを実感できるものと思います。参考になさってください。