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<解説・異論・反論>
みなさんよく御存じのように住宅ローン金利が史上最低金利を更新し続けていますね。こうした状況はもちろん、これから住宅ローンを借りようとされている方にとってもメリットがありますが、すでに住宅ローンを借りている方にとっても歓迎すべき事態です。
と言うのもすでに住宅ローンを借りている場合でも、借り換えによって毎月の支払利息を引き下げるチャンスが生まれてくるからですね。住宅ローン金利が史上最低金利ということは、まず間違いなく以前借りたときの金利条件より、今の方が金利が下がっていることを意味します。
さてその借り換えですが、一般的には以下3条件を満たした場合に「借り換えした方がよい」と言われております。これまで何度も書いておりますがこういうことですね。
・金利引き下げ幅が1%以上
・借入残高が1,000万円以上
・借入期間が10年以上
1が3つ並ぶ、大変覚えやすい「3条件」ですが、残念ながらこれはかなり誤解を生んでいるのではないかと思います。と言うのもこの「借り換えルール」の真意は、「借り換えには諸費用で50万円くらいかかるので、借り換えメリットがそれを上回らないといけないよ」ということであり、必ずしも「この3条件を満たさないといけない」ということではありません。
たとえば、仮に金利引き下げ幅が0.5%であっても、借入残高が2,000万円以上あったり、借入期間が20年以上残っていればOKということですね。特にこの3条件の中では1つ目の「金利引き下げ幅が1%以上」という条件をクリアするのが難しいと思いますので、「金利引き下げ幅が少なくても、残高や期間が十分あれば借り換えした方がよい」という点は覚えておいていただければと思います。
さてそのように住宅ローンの借り換えに追い風が吹いている状況ですが、その借り換えに関してSBIモーゲージ社とオールアバウト社が大変興味深い調査をしています。首都圏で2001年〜2012年にローンを組んで住宅を購入した671名を対象に、住宅ローンの借り換え経験の有無を聞いたところこのような結果になったということです。
つまり・・・すべての借り入れ年次において、過半数の方が借り換え未経験ということなのですね! 全体的には671人中、490人の方が「借り換えを行っていない」と答えていますので約73%の方が借り換えをしたことがないということになります。
もちろん、最初から借り換えを想定して住宅ローンを借りる人はまずいないわけで、借り換えをしなくてすんでいるという点では、この490人の方は正しい選択をしたと言えるのかもれませんが、一方でここまで急激に住宅ローン金利が低下すると予想していた方は少ないと思いますので、その点ではやはり「ちょっと少ないかな?」という気はします。
気になるその「借り換えしない」理由ですが、それも調べられていてこのような結果となっているようです。
複数回答のようですが、ほぼ半分の方が「借り換えをする理由が特にないから」と答えています。言葉としては明快な一方、よく考えると意味が不明瞭な回答ではありますが、要するに「借り換えメリットがないから=借り換えをしても得にならないから」ということですかね?上記の通り、借り換えには諸費用で50万円くらいかかりますので、メリットがそれを上回らない限りやる必要はありません。
ただリーマンショックがあった2008年以降に借りた人はともかく、それ以前に住宅ローンを借りた人なら今と比べると金利はそれなりに高かったはずで、特に固定金利の場合は今より間違いなく1%以上高かったと思います。だとすると少なくともそうした方々は借り換えメリットがありそうですが、その疑問を解くカギとなりそうなのが同じ調査における金利タイプの回答結果で、このようになっています。
この12年で全期間固定金利型がや当初固定金利型のシェアが徐々に縮小する一方で、変動金利型が徐々に増加してきたことが分かります。特に2009年以降は大きくそのシェアを伸ばしていますね。「変動金利型のシェアが半分以上」というのは記者の感覚とも合致します。
で、上記の「住宅ローン借り換え経験の有無」のグラフを見比べていただくと、年数が新しくなるにつれて借り換え未経験者が増えていくわけで、もちろん「新しければ新しいほど借り入れ金利も低下しており、借り換えメリットも縮小しているはず」とは言えるものの、やはりこうした金利タイプの変遷と無関係ではないでしょうね。
つまり、この2つのグラフを突き合わせると、「変動金利型利用者が増えるにつれて、住宅ローンの借り換えニーズが減少してきている」と考えられるわけです。また、当初固定金利型も一定期間がすぎれば変動金利型に切り替わるわけで、これも広い意味では変動金利型利用者と捉えるとすると、「全期間固定金利利用者が減るにつれて借り換えニーズが減少してきている」と言い換えても間違いではなさそうです。
この推測を前提に、今のような低金利が続く限り住宅ローンの変動金利型が優位な状態が続く一方で、当初固定金利型は当然として、全期間固定金利型も借り換えによって変動金利型に切り替えられていくとすると、最終的には住宅ローンの金利種類は「変動金利型だけ」ということになるのかもしれませんね・・・極論ですが。
そして変動金利型利用者の借り換えニーズが相対的に低いのだとすれば、今後は住宅ローンの借り換え市場も徐々に縮小していくことになりそうですね。つまり全期間固定金利型利用者を全て刈り取ったらオシマイというわけですが、はたしてどうなるでしょうか・・・。
いずれにしても、ここから得られる示唆は2つあり、1つ目は今、全期間固定金利型の住宅ローンを利用されている方は、積極的に借り換えを検討した方がよさそうである、ということ。
そして2つ目は、これから住宅ローンを新たに借りようとされる方は、借り換えをしなくてすむ可能性が相対的に高そうな変動金利型の住宅ローンを積極的に検討した方がよさそうである、ということですね。上記の通り借り換えには一定のコストがかかることから、借り換えをしなくてすむのならそれに越したことはありません。お金だけでなく、時間や手間もかかりますからね。
参考になさってください。
しかし少し驚いたのは、このように全期間固定金利型の住宅ローン販売にネガティブとも捉えられる調査結果を、フラット35専門のSBIモーゲージ社が発表したことですね!Be
fairということでしょうか・・・別の銀行の標語ですが・・・。