※当サイトには広告リンクが含まれています。
<編集部からの異論・反論・意見>
これまで何度かご案内しているように、1月末のマイナス金利政策発表に伴い住宅ローン需要が爆発している状態ですが、実際にそのマイナス金利政策が始まったのは2月16日からですし、住宅ローン金利に本格的に反映されるのも3月の金利から、ということになります。
つまり「話題先行」「思惑先行」で始まった今回の住宅ローンブームですが、その気になる3月の住宅ローン金利は期待に応えるように0.1%〜0.2%といったレンジで低下しており、これまでの過去最低金利を大幅に更新しております。
>>>2016年3月の住宅ローン金利比較
このような空前の低金利だけでなく、ちょうどこの3月までが例年の住宅取引のピークシーズンであり、さらに来年には消費税の再増税が迫っているわけで、そうした2重・3重の追い風の中で今月の住宅ローン需要がさらに拡大するのは必至ですね!住宅ローン利用者としても気になるところです。
そうした住宅ローンの営業現場での喧騒ぶりは数字の上でも徐々に明らかになっておりまして上記記事によれば「借り換え」に関する問い合わせが1月から2月にかけてこのように伸びたそうです。
・三菱UFJ銀行 : 倍増
・三井住友銀行 : 3.8倍
・みずほ銀行 : 2倍
・りそな銀行 : 6.3倍
いずれも劇的に増加したわけですが、中でもりそな銀行の「6.3倍」というのはすごいですね!みずほ銀行の「2倍」がかわいく見えてしまいます。もちろん、どちらも目覚ましい状態であるのは間違いありませんが。
仮に3月は2月よりもっと申込みが増えるとすると・・・いよいよパンク状態ですね。銀行業務全般にそうですが、特に住宅ローン業務や審査業務は高い専門性が必要とされ、いきなりパートやバイトをかき集めて能力を増強する、ということは難しいと思います。
経験者をかき集めて休日出勤させても増やせる処理能力は1.5倍とか2倍と言ったレベルではないでしょうか?結果的には大量の申し込みの在庫が貯まり、審査期間が通常の数倍になる、という可能性が高そうです。ある種これは「お祭り」みたいなものですから、参加される方は順番が来るまで忍耐強くお待ちいただければと思います。
さてこのように全体的には「借り換え」需要が大きく伸びていることが分かります。金利が下がったからと言って家を2軒も3軒も購入できる人はいませんし、マイホーム購入を決断してもすぐに気に行った家が見つかるわけではありませんので、まず最初により手軽・気軽な借り換え需要が伸びるのは当然です。
ただ銀行としてこうした「特需」がずっと続くかと言うとどうやらそういうことではないようですね。上記記事もその後に大手銀行関係者のコメントとして「既に金利の低い状況が長く続いていて、全体の借り換え需要自体が減少傾向にある」と続いているわけですが、要するに借り換え需要はどんどん縮小しているということですね。
そして今回これだけ顕著に借り換え需要が爆発すると・・・その後は「焼け野原」となる可能性がそれなりにありそうです。
ではその借り換え需要の実態はどうなっているかと言うと、住宅金融支援機構のデータによればこうなっています。
ちょっと文字が小さくて恐縮ですが、2014年度の新規「借り換え」貸出額の全体の内訳を見るとこういうことですね。
・大幅増 : 20.7%
・増加 : 7.9%
・変わらず : 28.6%
・減少 : 9.4%
・大幅減 : 33.5%
つまり、増加している銀行が28.6%である一方、減少している銀行が42.9%ですから、少なくとも金融機関の数という点では借り換えは縮小していることが分かります。少なくとも優勝劣敗が進んでいるのは間違いありません。
そしてこの「借り換えが減少している銀行が多い」という傾向は表が始まっている2011年度から4年連続で継続しているということです。やはり上記大手銀行関係者のコメント通り「全体の借り換え需要自体が減少傾向にある」というのは事実なのでしょうね。
実際、同じく住宅金融支援機構が発表している別のグラフでも、新規住宅ローン貸出額に占める「借り換え」の割合が着実に減少している様子がうかがえます。
34.3%→30.3%→26.6%→25.2%と確かに「借り換え割合」が一本調子で低下しています。住宅ローンの借り換えが実額の上でも減少しているのは間違いなさそうです。
そうしたわけで、各銀行におかれては全行員総出で最後となるかもしれないこの借り換え特需をビジネスチャンスに生かしていただければと思います。
一方で。
これらはあくまで銀行から見た時の話ですね。住宅ローン利用者からすれば全く別の解釈になってきます。要するにわざわざ混雑している時期に、混雑している場所に、焦って行く必要はありません。
海外旅行もゴールデンウィークや夏休み、年末年始を外せば劇的に安くなりますし、有名なレストランも11時や2時などに出かければガラガラな場合もあります。
特に住宅ローンの借り換えについては「いつやっても良い」わけですから尚更です。
もちろん、今後金利が上昇する可能性があり、今すぐ借り換えしないといけないのであれば別ですが、円高や原油安といった現状を踏まえればデフレ傾向はますます強まる可能性が高く、インフレ目標達成に向けて死にもの狂いの日銀が今後、金融緩和をさらに拡大させるのは間違いありません(さすがにマイナス金利政策はしばらく様子見だとは思いますが)。
とすると今後金利が低下することはあっても本格的に上昇する可能性は考えにくいです。0.2〜0.3%程度の金利上昇ならあるかもしれませんが。
そのように考えれば、ただでさえパンク状態の銀行窓口に押し掛けることはあまりお勧めできません。
それでも金利上昇が心配で1日でも早く借り換えを済ましてしまいたいという方は・・・複数の銀行に申し込んでおくということですかね?借り換え市場が全体的に過熱しているとしても、そうは言いつつ、「これまでと比較してどれくらい増加しているのか」「どれくらい処理能力を増強できているのか」「手続きがどこまで自動化できているのか」といった点は銀行によってバラバラです。
つまり、思いがけず早く手続きが済む銀行があるかもしれない、ということです。ただこれは現在進行形の話となりますのでやはり実際に申し込んでみないと分かりませんね。
審査がある住宅ローンでは、こうした繁忙期に限らず「複数の銀行に申し込んでおく」という手法は有効ですが、この時期はなおさら、ということですね。
新規借り入れの方も含め、この3月に住宅ローンの手続きをできるだけ済ませておきたいという方はなるべく幅広に申し込まれることをお勧めしたいと思います。
参考になさってください。