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何度もご案内しておりますが、2016年1月末にマイナス金利が発表されてから住宅ローン市場は大きく盛り上がっておりますね。
各種報道でも銀行への住宅ローンの問い合わせや申し込みが「通常の3倍」や「例年の4倍」となっており、「マイナス金利」という言葉の響きも相まって相当な関心を呼び起こしたことがうかがえます。
そういえば今朝のNHKの「朝イチ」でも住宅ローンが特集されていましたね。内容としては切れのあるダンス以外は目新しいものはありませんでしたが・・・。
それはともかくとして4月も下旬となり、そうした住宅ローン市場の盛り上がりが統計データにもぼちぼちあらわれ始めております。まず最初にご紹介したいのが、日銀が3ヶ月に1回、発表している「主要銀行貸出動向アンケート調査」です。
回答期間が2016年3月9日から4月12日ということですので、マイナス金利の影響を探る上ではかなり良いタイミングです。発表が早いのも良いですね。
回答金融機関も50ということで必要十分である上に、回答に偏りが目立つ場合がある消費者に対するネット調査などと違ってより信頼できるものと言えます。
では具体的な回答を見てみると「過去3ヶ月間において個人向けの資金需要がどのように変化したか。」という質問に対してはこのような回答となっています。
前回が−1だったのに対して今回は+9と個人の借り入れニーズが大きく伸びたことが分かります。内訳としては前回と比較するとこういうことですね。
・増加 : 1→1
・やや増加 : 1→8
・横ばい : 45→40
・やや減少 : 2→1
・減少 : 1→0
やはり過去3ヶ月で個人の資金需要が増加したと感じている金融機関が多くなっていますね。
しかし興味深いのは「企業向け」や「地方公共団体向け」はむしろ減少しているという点です。企業向け金利はそれほど変わっていなかったり、あるいはそうした細かな金利の差よりも年明け以降、円高株安が大きく進むなど企業の経営環境が悪化しているというネガティブ要因の方が大きいのかも・・・しれません。
理由は定かではありませんがこうした資金需要が増えていないとすると「マイナス金利政策」の効果は今のところあまり、「はかばかしくない」と言えそうです。
それはともかくとして、この個人向け資金需要は「住宅ローン」と「消費者ローン」に分かれますのでその内訳を見てみます。
やはり住宅ローンの伸びが鮮明ですね!具体的には前回と比較してこのように変化しています。
・住宅ローン : −4→4
・消費者ローン : 8→7
住宅ローンについては前回調査では「−4」とむしろ減少していたわけですから、「マイナス金利ショック」で大きく反転したわけですね!グラフを見てもそのV字回復は明らかです。
そして今後3ヶ月の見通しはこう。
個人向けについては前回の4から5に上昇しているわけでこちらにも好影響が出ていますね。
ただ一方、過去3ヶ月の評価である「9」からするとやや控えめであり、こうした盛り上がりは一時的なもの、という冷めた見方もあるのかもしれません。
最後に貸出運営スタンスはこう。
前回14だったものが19ですから、より積極的な姿勢になっていることが分かります。企業向けと比較しても最も積極的ですね!内訳としてはこのようになっています。
・積極化 : 5
・やや積極化 : 9
・ほぼ不変 : 36
・やや慎重化 : 0
・慎重化 : 0
確かに多くの銀行で積極化している実態が分かりますが、注目すべきは「やや慎重化」「慎重化」と回答した金融機関がゼロということですね!
金利の低下もさることながら、こうした金融機関の積極姿勢は審査の承認率のアップであったり、付帯サービスの拡充につながっていくものと思われますので、その点からも今は「借り時」「借り換え時」と言えるのかもしれませんね。
そうしたわけでこの日銀の銀行貸出動向アンケートを見る限り、住宅ローン市場に強い追い風が吹いていることが確認できるわけですが、このタイミングでちょうどフラット35の申請・貸出実績が公表されておりましたのでチェックしてみたいと思います。2016年1月〜3月の申請・実績戸数は前年同期と比較するとこのようになっています。
・フラット35申請戸数 : 30,927戸→33,167戸
・フラット35実績戸数 : 22,256戸→24,126戸
こちらも確かに増加していますね!やはり追い風を感じます。
そうしたわけで今のところ住宅ローン市場が好調なのは間違いありませんが、しかし懸念材料がないわけではありません。報道によれば、首都圏の3月の新築マンションの供給戸数は前年と比べて約4割も減少したということですね。約4割!
もちろん「供給」は何年も前から仕込まれているわけで、マイナス金利が発表されたからと言ってすぐに販売できるものではありません。その点ではこの数字自体はただ単に過去の見通しが慎重だった、ということなのかもしれませんが、より気になるのは契約率が68%と好調目途である70%を下回ったという点です。
つまり盛り上がっているのは住宅ローンの「借り換え」ばかりで、肝心の住宅市場やそれに付随する住宅ローンの「新規借り入れ」市場はそれほど盛り上がっていない可能性がある、ということです。
だとすれば・・・やはりマイナス金利の効果は「はかばかしくない」と言えそうです。いくら借り換えが盛んにおこなわれても金融機関の間で住宅ローンがグルグル回遊するだけですから、少なくとも金融機関全体から見れば「ゼロサム」です。
マイナス金利が景気に貢献するためには上記の通り企業向け融資や住宅ローンの新規借り入れが伸びる必要があるわけですが・・・はたしてどうなるのでしょうね?
ただしもちろん、住宅ローン利用者からすればそうした全体の市場を気に掛ける必要は全くありません。より良い条件があれば利用するのみですね。
住宅ローン金利が史上最低水準にあるのは間違いありませんので、ぜひこの好機を生かして住宅ローン返済額の削減に結びつけていただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>