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先日もご案内したように勢いよく上昇しているのがマンション価格ですね。国土交通省が発表している住宅価格指数によればマンション価格は2010年を100とすると127.5まで上昇しています。6年間で3割近く上昇したということですね。
「そんなの東京だけでしょ?」と思われるかもしれませんが、この数字は全国平均です。つまりマンション価格は全国的に上昇しているのですね。
しかしこのグラフを見るといつも意外に思うのが、住宅地や戸建てについてはほとんど全く上昇していないという点です。むしろマイナスですね!
マンションもいいですが、戸建ても好きな記者からすれば意外な状況ですが、どうやらマンション建設に多く必要な「鉄筋工」などの専門職で人手不足が続き、そうしたことがコストアップの要因となっているようです。
戸建ての建設にももちろん専門職が必要なはずでなぜそうした格差が生まれているのかわかりませんが、マンション建設に必要な専門職はかなりのエキスパート・スペシャリストであり、そう簡単に増やせない、ということなのかもしれません。
とは言いつつこうした状況の元で一部の消費者はマンションから戸建てに動いているようで、先日の住宅販売業者の決算でも「戸建て需要が増えつつある」と説明されておりました。だとすれば合理的な判断、と言えるのでしょうね。
実際、マンションの販売数は価格上昇と共に順調に減少しているようです。同じく国交省のデータによればこうなっています。
こちらは新築マンションの首都圏での供給戸数の推移ですが、1月も2月も3月も過去4年間の中で最低水準ですね!特に3月の減少っぷりは目を引くものがあります。
ただ一方で、こうした供給戸数は数年前から開発を開始したものであり「遅行指数」と言えます。では「先行指数」である新規住宅着工件数はと言うとこのようになっています。
こちらは安定的というか、回復傾向にありますね!特に直近の2月の数値が過去3年と比較するとやや好調ですが、もしかするとマイナス金利による後押しもあるのかもしれません・・・単にうるう年で1日多かっただけ、という可能性もゼロではありませんが・・・。
そうしたわけで、今後の住宅供給と住宅需要がどのように変化していくのか気になるところですが、そのカギを握るのは住宅ローン金利と税制、そして住宅価格ということになります。
住宅ローン金利については当面は低いままだと思いますし、税制については正直不透明であるのは前回のコラムでご案内した通りですので割愛しまして、今回はその住宅価格の見通しについて考えてみたいと思います。
>>>消費税は2017年4月に本当に再増税となる?住宅購入予定者には頭の痛い状況
まず日銀の「生活意識に関するアンケート調査」では、全国4,000人の消費者の回答はこのようになっておりました。
直近の調査では、「地価が上がる」と回答した人が25.6%だったのに対して「下がる」と回答した人は35.3%とむしろ下落の予想を立てている人の方が多いのですね!驚きです。
グラフを見てもその傾向は明らかで、2014年末くらいからそうした「下落予想」がマジョリティとなっています。正直、こうした住宅価格予測でここまで悲観的な結果を見たことはありませんが、しかしトレンドとして徐々に地価上昇期待(懸念)が後退しているのは間違いなさそうです。
次にスタイルアクト社が「住まいサーフィン」の登録会員のうち、直近3か月間に新築マンションの販売センターに行った経験がある方のみを対象として実施した「マンション購入に対するアンケート」では1年後のマンション価格についてこのように予想・回答しています。
こちらはさすがに「3ヶ月以内にマンションの販売センターに行った方」限定だけあって、まだ強気ですがそれでも1年後にマンション価格が上昇すると予想した割合は過去1年間でこのように変遷しています。
・上昇予想 : 83.6% → 75.2% → 50.9% → 46.8%
割合はともかくとしてこちらでも着実に住宅価格の上昇懸念が後退していることが分かります。
そうしたことも影響してか、2016年度の住宅市場については、住宅金融支援機構の調査では、住宅事業者・消費者・FPはそれぞれこのように評価しています。
つまり65.3%の住宅事業者が「今年度は昨年度と比べて住宅の受注・販売が増える」と予想し、61.9%の消費者が「今年度は住宅は買い時」と感じ、68.6%のFPが「今年度は前年度と比較して買い時」と回答しているわけですね。
もちろん、その前提には増税や住宅ローンの金利低下があるわけで必ずしも住宅価格の見通しに大きく影響されているわけではないですし、FPに至っては「住宅価格が今後上昇するから今は買い時」と考えているわけで、上記結果と全く矛盾します。
さらに、この結果をさすがに「出来すぎ」とするならいつものように住宅金融支援機構の「プロパガンダ色」を強く感じてしまうわけですが、しかしそれでも住宅価格が今後下がると思えば関心が高まるわけですし、さらに本当に下がり始めればますます「買い時感」は強まることになります。
冒頭の住宅価格を見る限り、特にマンション価格についてはそうした期待を裏切り続けてきたわけですが、そろそろ下がる局面が来るのでしょうか?
少なくとも着工件数が減少すれば、人手不足に伴うコスト高は解消されていくことになります。
住宅価格は高ければ悪い、低ければ良い、というような単純なものではないかもしれませんが、住宅ローン負担やリスクという観点からすれば1円でも安いことに越したことはありません。
多くの方の期待通りもう少し手頃な価格となっていくことを祈りたいと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>