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みなさんもよく御存じのように、1月のマイナス金利政策発表以降、住宅ローンの申し込みが殺到しているわけですが、聞こえてくるのは「増えているのは借り換えばかり」という指摘ですね。
つまり肝心の新規の住宅ローンはなかなか増えてこない、という状況のようです。すでに住宅ローンを借りている方には申し訳ないですが、日本経済への貢献という点では、やはり新しく住宅を購入し、新しい住宅ローンを借りようとする人にはかないません。マイナス金利政策の評価は賛否両論と言いますか、むしろ批判の方が多い気がしますが、この「新しく住宅ローンを借りようとする人」が増えてくるかどうかにもかかっているのでしょうね。
とは言いつつ、いくら住宅ローン金利が下がったとしてもほいほいと住宅を購入できるわけではありませんし、そもそも新築であれ中古であれ、物件が供給されない限りは取引が増えるはずがありません。
そんなわけで住宅市場の先行指標と言うべき、首都圏の新設住宅着工戸数をチェックしてみると、このように推移しているようです。
今年の実績は過去3年との順位で言えば、
・1月:4位
・2月:2位
・3月:1位
ということで徐々にアップしてきていることが分かります。前年同月比で見ても「3ヶ月ぶりにプラス」ということになるでしょうか?
ただ・・・棒グラフを見た第一印象としてはむしろ「目立って増えているようには見えない」というものですね。確かに過去3年と比べるとほんの少し増加しているのかもしれませんが、正直、今のところ誤差の範囲にしか見えません。
ここから本当に伸びていくのかどうか、4月以降の数字に注目ですね。
ちなみに水を差すとすれば、2つの逆風があります。1つ目は言わずと知れた消費税の「増税延期」です。増税が近づけば駆け込み需要が起きるのであれば、逆に延期となれば需要が落ち着くのは当然です。
もちろんこれから住宅を購入しようとされている方にとってはこれは「追い風」と言えるわけですが、住宅市場全体からすれば短期的にはネガティブな要因と言えます。
2つ目の逆風は住宅価格の上昇ですね。特にマンション価格の上昇については目覚ましいものがありますが、それに加えて都心部を中心に地価も上昇傾向にあります。
それらの点を踏まえれば住宅市場は今後もしばらく「落ち着いて推移する」と予想されるわけですがいかがでしょう?
では随分と前置きが長くなってしまいましたが、その地価動向を把握するのに最適な指標の1つであり、当サイトでも定期的にご案内しているのが、国土交通省の「主要都市の高度利用地地価動向報告」=地価LOOKレポートです。
その最新版=2016年第1四半期=2016年1月〜2016年3月のデータをチェックしたいと思います。
毎回ご案内しているように、この調査では対象地区が
・東京圏43地区
・大阪圏25地区
・名古屋圏9地区
・地方中心都市等23地区
と全国にバランスよく配分されているのが特徴です。そのため3大都市圏のみならず、全国の動向が把握できることに加え、「1年に1回」が多い他の主要な地価調査と違って、3ヶ月に1回実施されているのが利点です。
発表も早く、地価をタイムリーに把握できる点も魅力ですね!
では早速、今回の調査結果について、値上がり・値下がりの分布を3ヶ月前の前回調査と比較するとこのようになりました。
・上昇地区 : 89→89
・横ばい : 11→10
・下落地区 : 0→ 0
上昇地区の数は89で変わりませんが、横ばい地区が1つ減り、11地区から10地区に減少しています。一歩一歩「完全上昇=全ての地点で上昇」という状態に向かっているわけですね。
しかし。
ここでアレ?と思われた方も少なくないと思います。横ばい地区が減少しているということはその分、上昇地区か下落地区かが増えないといけないわけですがどちらも増えていないということは・・・調査地点が100地区から99地区に減少しているのですね!
何かのミスかと思いましたが、実際のところは熊本地震の影響で熊本市の対象地区が今回外された、ということのようです。ナルホド。震災の影響がこういうところにも表れるのですね。
被災地の1日も早い復旧・復興を祈りたいと思います。
そうしたわけで今回の上昇地区の割合は89地区÷99地区=約90%ということですね!前回の89%から一歩前進しました。
ちなみにその熊本市の対象地区も前回調査では上昇していましたので、もし上昇地区としてカウントされていれば90地区÷100地区=90%ということでほぼ同じ値です。
消費者からすれば土地代が上昇するのは歓迎すべきことではありませんが、ここまで来れば1回でいいので「全地区上昇」という状況を見てみたい気がします。完全に野次馬根性ですが・・・。
なお、この調査が全国の主要都市で行われていることからも分かるように、こうした強気相場は東京にとどまるものではない、ということですね。「地価上昇」というと「東京の話」、という気がしますが実際にはそうではありません。
さて、このように全国の主要都市が上昇してくると気になるのが、残る「横ばい地区」ということになります。具体的な地名としてはこういうことですね。
・盛岡市/盛岡駅周辺
・浦安市/新浦安
・柏市/柏の葉
・長野市/長野駅前
・新潟市中央区/新潟駅南
・岐阜市/岐阜駅北口
・草津市/南草津駅周辺
・京都市左京区/下鴨
・高松市/丸亀町周辺
・鹿児島市/鹿児島中央駅
全部で1つ減ったわけですがその内訳は、「京都市西京区/桂」が上昇に転ずる一方、「岐阜市/岐阜駅北口」が横ばいに戻り、「富山市/西町・総曲輪」については「富山市/富山駅周辺」との差し替えで消滅、ということになっています。
毎回コメントしておりますが、これらの地点も各エリアの中核地域であり、いつ上昇に転じてもおかしくない気がします。「下落地点」がすでにゼロとなっている以上、今後のポイントはこうした「横ばい地区」のどこがいつ上昇に転ずるのかですね。
繰り返しになりますが、これから住宅を購入されようとされている方にとってはもちろん地価は上昇しない方がいいわけで、特にこれらの地点の周辺での購入を検討されている方は今後の動向にご注意いただければと思います。
アベノミクスや黒田マジックについては息切れが隠せなくなっておりますが、地価の上昇の勢いは今後どうなっていくのでしょうか?
参考になさってください。