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昨日、足元の長期金利の動向について述べたばかりですのでほぼ同じ内容になってしまうことを予めお断りしたいと思いますが、ここ1週間の長期金利の急低下は以下2つが要因だと考えられます。
1.今週開催された日銀の金融政策決定会合における追加緩和期待
2.来週木曜に予定されているイギリスの国民投票の結果が「EU離脱」になる懸念
まず1つ目の日銀の会合については結果が出まして「追加緩和なし」ということになりました。「追加緩和期待」から金利が下がったのであれば、結果が「なし」であれば金利は上昇してもいいはずですが、昨日の長期金利は依然低いままでした。
つまり会合結果はあまり関係ないのかと思えたのですが一晩経って消化できたのか、今日の長期金利は昨日の−0.205%から−0.140%へ、+0.065%上昇しています。
もしこうした水準で安定するのであれば、最近の長期金利の低下幅:−0.1%→−0.2%=−0.1%の過半はやはり1つ目の「追加緩和期待」で説明できる、ということになります。
後はイギリスの国民投票の結果次第ですね。めでたく「残留」となれば長期金利は−0.1%を上回ってくるでしょうし、やっぱり「離脱」となれば長期金利は再び−0.2%を下回ることになるのでしょうか。金利のことだけを考えれば「離脱」の方がいいわけですが、ただその後の世界経済の混乱を想うと残留してほしい気もします。
住宅ローン利用者としては悩ましい状況ですね。
さてすでに7月の住宅ローン金利の全体的な予測については以下の通りご案内しております。
>>>[7月の住宅ローン金利予想]長期金利は大幅低下もイギリスの選挙結果次第
予想としては「7月の住宅ローン金利は−0.1%〜−0.2%程度下がる可能性が高い」としました。
ただこれは繰り返しになりますが、あくまでイギリスの国民投票の結果次第ですね。
一方で。
本題の7月のフラット35住宅ローン金利を予測するのはずっと簡単です。
と言うのも、フラット35金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件がすでに発表されているからですね!したがってここから市場金利が上昇しようが下落しようが、少なくとも7月のフラット35金利はほぼ確定です。
と言うわけでその「機構債」金利から、7月のフラット35住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。
ちなみにフラット35住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。
1.ベース金利=機構債金利
+
2.住宅金融支援機構のフラット35事業運営コスト
+
3.販売金融機関のマージン
残念ながら上記2や3の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記1、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット35金利の変化となります。
では具体的に6月発行の機構債の条件はと言うと、前月5月と比較してこのように変化しています。
◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件
・0.36% → 0.23% (−0.13%低下)
先月は意外にもプラス0.02%の上昇ということで昨年10月以来、8か月ぶりの上昇となったわけですが、今月は順当に低下しているというわけです。
・・・と言うより−0.13%の下落ですから、かなりの金利低下ですね!
フラット35の金利としては最低水準にある楽天銀行をベースにするとこのように変化することになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(単純計算)
・フラット20金利 : 0.99% → 0.86% (−0.13%低下)
・フラット35金利 : 1.10% → 0.97% (−0.13%低下)
どちらも表面金利は1%を下回ってくる、ということですね!
とは言いつつ毎回、微妙に予測を外しておりますのでもう少し精度を高めるべく、過去5ヶ月の機構債の金利変動と、楽天銀行のフラット20、フラット35の金利変動をチェックするとこうなっています。
・2016年1月の機構債金利変動 : 0.85%→0.79%(−0.06%低下)
2月のフラット20金利 : 1.27% → 1.21% (−0.06%低下)
2月のフラット35金利 : 1.54% → 1.48% (−0.06%低下)
・2016年2月の機構債金利変動 : 0.79%→0.54%(−0.25%低下)
3月のフラット20金利 : 1.21% → 1.02% (−0.19%低下)
3月のフラット35金利 : 1.48% → 1.25% (−0.23%低下)
・2016年3月の機構債金利変動 : 0.54%→0.48%(−0.06%低下)
4月のフラット20金利 : 1.02% → 1.02% (変わらず)
4月のフラット35金利 : 1.25% → 1.19% (−0.06%低下)
・2016年4月の機構債金利変動 : 0.48%→0.34%(−0.14%低下)
5月のフラット20金利 : 1.02% → 0.96% (−0.06%低下)
5月のフラット35金利 : 1.19% → 1.08% (−0.11%低下)
・2016年5月の機構債金利変動 : 0.34%→0.36%(+0.02%上昇)
6月のフラット20金利 : 0.96% → 0.99% (+0.03%上昇)
6月のフラット35金利 : 1.08% → 1.10% (+0.02%上昇)
こうしてみると、より期間の長いフラット35の金利はほぼ機構債の金利変動幅に追随していることが分かります。
他方でちょっと複雑な動きなのがフラット20ですね。4月は機構債の金利もフラット35の金利も0.06%低下したにも関わらず据え置きとなったほか、今月=6月は、機構債金利もフラット35金利も0.02%上昇したにも関わらず、フラット20の金利は+0.03%とそれより高い上昇幅となりました。
つまり、金利低下ペースが鈍っているばかりかむしろ、「フラット35との金利差を縮めよう」とする力学すら感じるわけですが、その理由は一体何なのでしょうね?
その背景は分かりませんが、そうした力学が引き続き健在だという前提で、当サイトでの7月のフラット35金利予測は最終的にこう結論づけたいと思います。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論)
・フラット20金利 : 0.99% → 0.90% (−0.09%低下)
・フラット35金利 : 1.10% → 0.99% (−0.11%低下)
結局は機構債の金利変動を多少マイルドにしただけですが・・・近しい結果になることを期待したいと思います。
いずれにしても7月のフラット住宅ローン金利は低下するのは間違いなく、表面金利についてはどちらも「1%割れ」の可能性がある、ということですね。そうなれば再び注目を集めそうです。
なおこの予測に楽天銀行の金利を利用しているのは、楽天銀行のフラット35は、金利+手数料のトータルコストが最低水準だからですが、それでもこれはあくまで「表面金利」であり、取扱い手数料や、団体信用保険のコストなどを加味すると「実質金利」は概ねこのようになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論:実質金利)
・フラット20金利 : 1.43% → 1.32% (−0.09%低下)
・フラット35金利 : 1.54% → 1.43% (−0.11%低下)
表面金利からすれば魅力は低下してしまいますが、それでも「全期間固定金利」という点を踏まえれば、かなり魅力的と言えます。
新規貸出実績などのデータを見ればフラット35の人気は高まっているようですが、7月も好調なのでしょうね。
ただし上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月1日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。
>>>フラット35の最新金利について詳しくはこちら
ちなみにこのフラット35、フラット20、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。
過去5年間の平均値を見る限り、フラット35・フラット20の金利変動と、機構債の金利変動に差はほぼありません。つまり連動してきたということですね。
しかしながら最近は上記の通り少しズレが目立ち始めています。グラフを見てもその不自然さは鮮明ですね。7月のフラット住宅ローンはどちらもスッキリ下がり、機構債金利とのギャップが解消されていくことを期待したいと思います。
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>