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これまで何度もご案内しているように、追加金融緩和への期待から長期金利は−0.2%台と歴史的な低水準を維持していますね。
しかも−0.2%を下回る金利というのは1回どころか2回分くらいのマイナス金利の拡大を織り込んでいるのではないかと思われ、金融市場の期待の高さがうかがえます。
ただ一方で、日銀が本当に素直に金利を引き下げてくるかと言えば微妙な気がします。渾身の一打であったマイナス金利政策も、言ってみれば「ただ金利が下がっただけ」ですからね。
円高株安に歯止めはかからず、国内で住宅も含めた投資が増えているかと言えばそれもなさそうです。
確かに住宅ローン市場は大いに盛り上がりましたが、そのほとんどは「借り換え」ですね。もちろん住宅ローン利用者からすれば借り換えはとても意味があることではあるのですが、日本経済全体から見れば借り換えばかりで住宅ローン残高が増えず、ただ銀行への支払利息が減るだけだとすればむしろ悪影響の方が大きいと言えるかもしれません。
そして肝心の物価が上昇したかと言えばむしろ下落傾向が鮮明になっております・・・。
さらにはマイナス金利の響きがシニア層の財布のひもを固くするのであれば、消費にも悪影響がある可能性があり、こうした点を素直に考えれば少なくとも「マイナス金利の拡大はない」という気がするのですがいかがでしょうか?
もし金融緩和があるとすれば「量的緩和」ということではないかと思いますが、これまでもずっと量的緩和を拡大させてきた経緯もあり、よっぽどのサプライズがない限り「材料の出尽くし」で金利は上昇する気がします。
もちろん、追加金融緩和がなければなかったで、失望からさらに金利が上昇しますね。
今月末に日銀の金融政策決定会合が控えていますが、追加緩和があるにせよ、ないにせよ、金利が上昇する可能性が高いような気がするのですがいかがでしょう?
だとすれば住宅ローン利用者としては悩ましい状況と言えるかもしれませんが、ただ仮に上昇したとしても−0.23%の長期金利が−0.10%になる、といった程度のものではないかと思います。
マイナス金利政策そのものが撤回されない限り、長期金利がプラス水準まで回復することはなかなか無さそうです。その点では引き続き積極的に住宅ローンの借り入れ・借り換えを検討いただければと思います。
いずれにしても金融政策決定会合の結論に注目ですね。
さてすでに8月の住宅ローン金利の全体的な予測については以下の通りご案内しております。
>>>[2016年8月の住宅ローン金利予想]超長期金利の低下に注目!ただし9月は上昇も
予想としては「8月の住宅ローン金利は−0.1%〜−0.2%程度下がる可能性が高い」としました。特に20年固定・30年固定金利がどれだけ下がるか見ものですね!
ただ繰り返しになりますが、今月末の日銀会合の結果次第では、8月はともかくとして9月の住宅ローン金利は多少とも上昇する可能性があります。ご注意ください。
一方で。
本題の8月のフラット35住宅ローン金利を予測するのはずっと簡単です。
と言うのも、フラット35金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件がすでに発表されているからですね!したがってここから市場金利が上昇しようが下落しようが、少なくとも8月のフラット35金利はほぼ確定です。
と言うわけでその「機構債」金利から、8月のフラット35住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。
ちなみにフラット35住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。
1.ベース金利=機構債金利
+
2.住宅金融支援機構のフラット35事業運営コスト
+
3.販売金融機関のマージン
残念ながら上記2や3の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記1、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット35金利の変化となります。
では具体的に今月発行の機構債の条件はと言うと、前月6月と比較してこのように変化しています。
◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件
・0.23% → 0.19% (−0.04%低下)
先月はいきなり、−0.13%も低下したわけですが、今回は比較的大人しく−0.04%の低下ということになっています。長期金利を見ればもっと低下していますが、購入している投資家の違いなどもあるのでしょう。
フラット35の金利としては最低水準にある住信SBIネット銀行をベースにするとこのように変化することになります。
◆住信SBIネット銀行のフラット35金利と来月の金利予測(単純計算)
・フラット20金利 : 0.85% → 0.81% (−0.04%低下)
・フラット35金利 : 0.93% → 0.89% (−0.04%低下)
引き続き「1%割れ水準」を維持ということですが、とは言いつつ毎回、微妙に予測を外しておりますのでもう少し精度を高めるべく、過去6ヶ月の機構債の金利変動と、住信SBIネット銀行のフラット20、フラット35の金利変動をチェックするとこうなっています。
・2016年1月の機構債金利変動 : 0.85%→0.79%(−0.06%低下)
2月のフラット20金利 : 1.27% → 1.21% (−0.06%低下)
2月のフラット35金利 : 1.54% → 1.48% (−0.06%低下)
・2016年2月の機構債金利変動 : 0.79%→0.54%(−0.25%低下)
3月のフラット20金利 : 1.21% → 1.02% (−0.19%低下)
3月のフラット35金利 : 1.48% → 1.25% (−0.23%低下)
・2016年3月の機構債金利変動 : 0.54%→0.48%(−0.06%低下)
4月のフラット20金利 : 1.02% → 1.02% (変わらず)
4月のフラット35金利 : 1.25% → 1.19% (−0.06%低下)
・2016年4月の機構債金利変動 : 0.48%→0.34%(−0.14%低下)
5月のフラット20金利 : 1.02% → 0.96% (−0.06%低下)
5月のフラット35金利 : 1.19% → 1.08% (−0.11%低下)
・2016年5月の機構債金利変動 : 0.34%→0.36%(+0.02%上昇)
6月のフラット20金利 : 0.96% → 0.99% (+0.03%上昇)
6月のフラット35金利 : 1.08% → 1.10% (+0.02%上昇)
・2016年6月の機構債金利変動 : 0.36%→0.23%(−0.13%低下)
7月のフラット20金利 : 0.99% → 0.85% (−0.14%低下)
7月のフラット35金利 : 1.10% → 0.93% (−0.17%低下)
こうしてみると、より期間の長いフラット35の金利はほぼ機構債の金利変動幅に追随していることが分かります。
他方でちょっと複雑な動きなのがフラット20ですね。金利変動幅がフラット35より小さくなるよう調整されているように見えます。
ただ6月のフラット20の金利はフラット35より少し上昇するなど一筋縄ではいきません。一体どのようなロジックで金利決定されているのでしょうねぇ。
詳細は謎ですが、それでもこれまでの「フラット35は機構債の金利変動に追随、フラット20はそれに比べて多少マイルドになる」という法則性を信じて、当サイトでの8月のフラット35金利予測は最終的にこう結論づけたいと思います。
◆住信SBIネット銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論)
・フラット20金利 : 0.85% → 0.82% (−0.03%低下)
・フラット35金利 : 0.93% → 0.89% (−0.04%低下)
今月は機構債金利以上に金利が低下したフラット20・35住宅ローンですが・・・上記予想と近しい結果になることを期待したいと思います。
いずれにしても8月のフラット住宅ローン金利は低下するのは間違いない、ということですね。引き続き人気が高まりそうです。
なおこの予測に住信SBIネット銀行の金利を利用しているのは、住信SBIネット銀行のフラット35は、金利+手数料のトータルコストが最低水準だからですが、それでもこれはあくまで「表面金利」であり、取扱い手数料や、団体信用保険のコストなどを加味すると「実質金利」は概ねこのようになります。
◆住信SBIネット銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論:実質金利)
・フラット20金利 : 1.29% → 1.26% (−0.03%低下)
・フラット35金利 : 1.37% → 1.33% (−0.04%低下)
表面金利からすれば魅力は低下してしまいますが、それでも「全期間固定金利」という点を踏まえれば、かなり魅力的と言えます。
ただし上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月1日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。
>>>フラット35の最新金利について詳しくはこちら
ちなみにこのフラット35、フラット20、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。
過去5年間の平均値を見る限り、フラット35・フラット20の金利変動と、機構債の金利変動に差はほぼありません。つまり連動してきたということですね。
しかしながら最近はややズレが目立ち始めておりましたが、それでも今月のフラット住宅ローンの金利低下で機構債金利とのギャップもかなり解消された感があります。このまま来月もスッキリ低下してほしいものですね。
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>