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マイナス金利が発表されてから住宅ローン金利は劇的に低下したものの、増えたのは「借り換え」ばかりで「新規借り入れ」は一向に増えないという話をよく聞きました。
ただこれは無理からぬことで、金利水準だけで判断できる「借り換え」と異なり、「新規借り入れ」には何より購入する不動産が必要になってきます。住宅を買うために住宅ローンを利用するのであって、住宅ローンを利用するために住宅を購入するわけではない、というのは当然ですね。
つまりいくらマイナス金利によって住宅購入意欲が刺激されたとしても、欲しい家が見つかるまでに一定の検討期間が必要ということです。
しかし平均検討期間が数ヶ月であったとしても、マイナス金利が発表されてから半年以上が経過していますからね!影響があるのであれば、そろそろ住宅販売が上向いてもおかしくなさそうです。
仮にもし住宅販売が上向いていないのだとすれば、マイナス金利による金利低下効果を相殺している要因があるということですね。考えられるものとしてはまず「住宅価格の上昇傾向」が挙げられます。いつもご案内している、国土交通省の最新の不動産価格指数はこのようになっています。
相変わらずスクスク上昇しているのはマンション価格ですね!直近では127.6ということでアベノミクス開始前の2012年水準から比べると3割近く上昇していることになります。素人の記者でもマンションの販売価格を見れば確かに上昇していることが分かります。
しかもこれは東京ではなく全国の統計ですね!つまりは全国的にマンション価格は上昇しているということです。景気が良いですねぇ・・・販売量や契約率はむしろ低下していますが。
ちなみに、いつもご案内しているように伸び盛りのマンション価格と対照的な動きを見せているのが「戸建て住宅」と「住宅地」です。戸建て住宅は100近辺をウロウロしておりますし、住宅地は90半ばとむしろ「弱含み」ということですね!
立地条件などは全く異なりますが、「マンション価格は高いなぁ」と思われた方は是非、「戸建て」も検討してみてはいかがでしょうか。
それはともかく、上記「住宅価格の上昇傾向」に加えて、消費者のマイホーム購入意欲に水を差しているものがあるとすれば「消費税の再増税延期」でしょうね。
「住宅を購入する理由」を調べるアンケートではどの結果も以下3つがビッグスリーとなってきました。
・住宅ローン金利の低下
・住宅ローン減税の拡充
・消費税増税
つまりは、これまで住宅ローン購入者の背中を押し続けてきた最大の要因の1つが、消えた(延期となった)わけですから、その分だけマイホーム購入意欲が低下するのは当然です。
要するに今の住宅市場は「マイナス金利政策」という追い風と、「住宅価格上昇」+「増税延期」という向かい風がせめぎ合っている状態、ということになります。
だとすればどちらが優勢なのか気になるところですが、タイミングよく不動産情報サイト「ノムコム」が、2016年7月8日〜7月14日の間、会員を対象に意識調査を実施していますね。その中で、会員の不動産の「買い時感」はこのようになっています。
つまり前回調査の「買い時」という回答が41.3%だったのに対して、今回調査では48.1%と有意に上昇しているのですね!
大きなトレンドで言えば2013年1月から下がり続けてきたノムコム会員の「買い時感」が3年半経って初めて上昇しているわけですから注目すべき結果と言えそうです。
では「買い時」と回答した人がどのような理由でそう判断したのかというとこうなっています。
「住宅ローンの金利が低水準」という回答が前回調査の69.1%から84.3%に大きく上昇しています!「買い時」と思っている人の回答ですから当然かもしれませんが、マイナス金利に伴う住宅ローン金利の低下が大きく後押ししている様子がうかがえます。
そうなってくると、「では実際の住宅市場はどうなっているんだ?」という疑問が出てくると思いますが、お持たせしました。国土交通省から発表された住宅着工件数はこのようになっています。
今年の2月以降、明らかに上昇していますね!とすると「住宅価格の上昇」や「増税延期」と言った逆風を乗り越え、住宅市場は活性化されつつあるということになります。
ただし・・・違和感があるとすればこちらですね。住宅種類別の着工件数の推移はこのようになっています。
つまり、確かに2月以降で住宅着工件数は回復基調にあるものの、マイホームと言える「持ち家」や「分譲住宅」の増加傾向はわずかであり、全体を引っ張っているのはあくまで「貸家」というわけですね!
少子高齢化が進んでおり、空家問題が徐々に深刻化している中で「そんなに貸家を作ってどうするの!?」という気もしないでもないですが、要するにこれは相続税対策であり、節税ニーズは引き続き強いということですね。
そう考えると「マイナス金利によって確かに住宅着工件数は増えているものの、貸家が引っ張っている状態であり、持ち家や分譲住宅はそれほど増えていない」と言えそうです。
だとすれば今後、一気にマイホームが売れ出し、住宅ローンの新規貸出が伸びていく、という展開はなさそうですね。
ちなみにこの「貸家の増加」を日銀がどう捉えるかですが、あまり筋の良いものではないとすると、7月も見送られた「マイナス金利の深堀」はますます遠くなっていきそうです。
と言うことは「住宅ローン金利低下に伴う貸出の盛り上がり」もそろそろこのあたりで「小休止」ということになるのですかね?
だとすれば残念ですが、ただ住宅ローン金利はすでに十分低いですからね。ぜひこのチャンスをしっかり生かして多少の金利変動に一喜一憂せず、早めに支払利息の削減に努めていただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>