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2016年1月末にマイナス金利政策が発表されてから7ヶ月以上経過しました。マイナス金利政策と言っても銀行が日銀に預けている当座預金のごくごく一部に適用されるもので、そこまで大規模なものではなかったのですが、その影響力は記者の予想をはるかに超え、市場金利は急激に低下しました。
さらにその後もイギリスのEU離脱問題などを材料に市場金利は低下し、足元ではやや上昇しているものの、それでも長期金利は−0.01%とマイナス水準を維持しています。
加えて、今般のマイナス金利政策はその名称のインパクトさからか、住宅ローン利用者を実際に借り換えに走らせ、「扇動力」という面でも特筆すべきものがあったと言えます。
実際にマイナス金利発表直後の2月や3月は借り換えの申し込みが3、4倍になったという話が盛んに報道されておりました。もちろん住宅ローン利用者からすれば借り入れ金利が下がって困ることは何一つありませんし、放っておいても金利を引き下げてくれるほど銀行は甘くありません。
だとすれば能動的に借り換えを利用することによって低金利を享受しようとするのは誠に合理的です。
ただ一方で、上記の通りマイナス金利政策が発動してから早くも7ヶ月以上経過しているわけで、借り換え需要が一段落していてもおかしくない気がします。
これまでの断続的な金利低下で当サイトのトラフィック自体は高水準で推移しており、住宅ローン人気が下火になっている様子は全く見られませんが、実際のところはどうなのでしょうね?
そうした中、日経リサーチが興味深い調査を実施したようです。日経新聞の記事によれば、7月27日〜8月2日に首都圏の男女4千人弱を調査したということで、新鮮かつ規模も十分と言えます。
残念ながら断片的な調査結果しか発表されていないようですが、住宅ローンに関する回答結果としては以下のようです。
・銀行などに相談に行った人は541人(14%)。
・相談テーマは住宅ローンが223人(41%)で首位。
・住宅ローンを相談した人のうち、実際に新規・追加の借り入れをした人は24%。
つまり、約4,000人の回答者のうち、住宅ローンの相談で銀行に行った人が223人。その中で実際に住宅ローンの借り入れ・借り換えをした人は54人というわけですね。
正直・・・少ない!というのが実感です。全体の1%とちょっとしか最終的なアクションを起こしていないということですからね。
ちなみにどれくらいの人がローンを利用しているかと言えば「知るぽると」のデータを利用するとこのようになっております。
・2人以上の世帯 : 39.2%
・1人世帯 : 18.0%
この2つを足して2で割れば28.6%ということになりますが、世帯の割合としては圧倒的に「2人以上の世帯」の方が多いのでしょうね。したがって「全世帯」では、住宅ローンを利用している人の割合は3割を超えてくるものと思います。
そして、この中のほとんどの人は借り換えによってメリットが出るのは間違いありません。借り換えの目安として最近は「金利差が0.3%以上」という話をよく聞くようになりましたが、三菱UFJ銀行の金利を基準にすれば、まさにマイナス金利政策が発表された直後の今年2月ごろを境に住宅ローン金利は急低下し、おおむね0.3%以上下落しているようです。
言い換えれば「2016年2月以前に住宅ローンを借りた人は借り換えメリットが出てくる」可能性が高く、やはり「ほとんどの住宅ローン利用者は借り換えした方が良い」ということですね。
そのように考えると上記アンケート回答者=約4,000人を分母にすれば、その3割、つまり1,200人が借り換えをしてもおかしくないわけですが、実際に手続きをした人が54人=1,200人を分母にして約5%に留まるということは、残りの約95%の人はマイナス金利政策開始に伴う金利低下メリットを得られず、「割高な住宅ローン金利」を払っている可能性があるということですね!
ではなぜ、なかなか借り換えが進まないのでしょうか?
やはり一番大きいのは「自分が借りている住宅ローンの借り入れ条件に無頓着」ということではないでしょうか?住宅ローンに関する調査で、「今借りている住宅ローンの金利がいくらか知らない」と回答している人が多くて驚くことが度々あります。
その理由としては、変動金利で住宅ローンを借りている人は「世の中の金利が下がれば住宅ローン金利も下がるのだから自分でチェックする必要はない」と考えておられるのかもしれませんし、固定金利で住宅ローンを借りている人は「金利が変わらないのが良いのだから自分でチェックする必要はない」と考えておられるのかもしれません。
しかしどちらも残念ながら全く間違っていると言えます。
前者について言えば、以前のコラムでもご案内しましたが、各銀行はどれだけ世の中の金利が下がっても変動金利の基準となる金利を変更していません。つまり、この金利低下局面でも「既存の変動金利は全く下がっていない」ということですね。
だとすれば金利を下げようとすれば借り換えをするしかありません。
後者についても、金利が固定ということは「金利低下メリットを放棄」しているわけですから、やはり低金利を享受しようと思えば借り換えをする必要があります。今や全期間固定金利であるフラット35も劇的に金利が低下していますからね!
そしてもちろん、こうした借り換えメリットは固定金利利用者の方が大きくなるでしょうから、固定金利で借りている人こそ自分の住宅ローン金利に敏感にならないといけない、ということですね。
それ以外の借り換えが進まない理由としては
・現在の住宅ローンの借り換え金利についてチェックしていない。
・時間がない。
・借り換え手続きが面倒そう。
・審査に通らなそう。
と言った点があるかもしれません。ただどれも・・・決定的な理由にはならないですね。「気持ち次第」という気がします。
その点では、まずは各銀行が提供している借り換えシミュレーションを利用して一体どれくらいメリットが出てくるのか試算してみるのが良さそうです。具体的なメリットが分かれば重い腰も上がってくるのではないでしょうか?
なお借り換えシミュレーションは当サイトでも人気の以下銀行がネットで提供しています。
・新生銀行
・住信SBIネット銀行
・auじぶん銀行
・イオン銀行
参考になさってください。