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住宅ローンの金利タイプのシェアに関する調査について信頼できるものはいくつかあります。ざっとチェックしていくと、まず1つ目は国土交通省が住宅購入者に対してアンケート調査を行ったものでこのようになっています。
変動金利型のシェアがずっと60%前後を維持しているという結果ですね。
2つ目は一般社団法人住宅生産団体連合会が発表した「2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査」です。あくまで注文住宅購入者の方々のデータとなりますが、その金利タイプはこのようになっています。
2014年度から2016年度にかけての変化を抜き出すとこうですね。
・変動金利タイプ : 59.7% → 57.1% → 48.4%
・固定金利期間選択タイプ : 17.8% → 15.4% → 23.4%
・全期間固定金利タイプ : 17.8% → 23.6% → 24.0%
2015年度から2016年度にかけての、「変動金利型の後退と、固定金利期間選択型の伸長」はかなりドラスティックですね。
3つ目は住宅金融支援機構が「民間住宅ローンの貸出動向調査」でこのようになっています。
「新規貸出」の過去3年間の金利タイプ別のシェアの推移を抜き出すとこうなります。
・変動金利タイプ : 54.7% → 61.8% → 49.9%
・固定金利期間選択タイプ : 39.7% → 33.3% → 44.2%
・全期間固定金利タイプ : 5.6% → 4.9% → 5.9%
こちらも、2015年度から2016年度にかけての「変動金利型の後退と、固定金利期間選択型の伸長」が目立ちます。
そして前置きが長くなりましたが、今回取り上げるのは国土交通省が発表した「平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査」です。この調査は1,299の金融機関から回答を得たものですのでかなり正確な情報だと言えます。
その中で気になる「金利タイプ別の実績」はこのようになっています。
他のデータと同じく、平成28年度=2016年度=2016年4月〜2017年3月期ということですから、「1年以上前の実績」という点には注意が必要ですが、過去3年の推移を抜き出すとこうなります。
・変動金利タイプ : 52.5% → 56.5% → 50.2%
・固定金利期間選択タイプ : 35.4% → 30.0% → 25.7%
・全期間固定金利タイプ : 5.0% → 4.3% → 7.1%
・証券化ローン : 7.1% → 9.2% → 17.0%
こちらも、2015年度から2016年度にかけて変動金利タイプのシェアが落ちる一方で、固定金利期間選択タイプのシェアも低下していますね!他のデータとは異なる動きになっています。
代わりに上がっているのは証券化ローンということで、もしこの調査が正しいとすれば代表的な証券化ローンであるフラット35のシェアが2016年度は大きく伸びたことになります。
というわけで住宅金融支援機構の「業態別の住宅ローン新規貸出額及び貸出残高の推移」をチェックしてみると、フラット35のシェアはこうなっています。
・フラット35の新規貸出額に占めるシェア : 2015年度11.6% → 2016年度13.0%
確かにフラット35のシェアは伸びているものの、「9.2%→17.0%」と言った数値からすればかなり乖離がありますね。とすると今回取り上げた国土交通省の調査結果は不正確ということなのでしょうか?金融機関が回答したものですので、相応の信頼性がありそうな気がするのですが・・・。
真相は分かりませんが、全体的に見れば
・2016年度は住宅ローンの変動金利タイプの人気が下がった一方で、固定金利の人気が上がった(ただし固定金利期間選択型が人気だったのか、フラット35が人気だったのかは調査によって異なる)。
ということになるでしょうか。
ただそうは言いつつどの調査を見ても変動金利タイプのシェアは5割前後となっており、断トツの1位人気であるのは間違いありません。
加えて2016年秋以降、住宅ローンの固定金利がジワジワ上昇する一方で、変動金利は低位安定しており(一部のネット銀行はさらに金利を引き下げています)、その点では今期=2017年度=2017年4月〜2018年3月期も、変動金利は高い人気を維持しているものと思います。
ネット調査でありあまり信憑性はありませんが、同じく住宅金融支援機構の「民間住宅ローン利用者の実態調査」でも、そうした変動金利人気の復調は見てとれます。
願わくば、こうした金利タイプシェアのデータがもう少しタイムリーに発表されるようになることを期待したいと思います。
もちろん、人気の金利タイプ=自分にとってベストな金利タイプ、ということではありませんが。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>