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最近、毎回触れている気がしますが、来年秋に予定されている消費税増税に向けて、いつのタイミングで住宅市場や住宅ローン市場に「駆け込み需要」が発生するのか気になるところです。
実際のところ、増税率はわずかですし、土地には消費税はかかりません(建物のみ)。また、ほとんどの中古物件には消費税がかからないことを踏まえれば、ネガティブインパクトはそこまで大きいわけではありませんが、しかしコストアップすることが分かっていて、さらに2、3年以内にマイホームを購入することが確実なのであれば、「前倒しして購入しよう」と思うのは当然と言えます。
住宅ローン金利も低いですしね。
ただ一方で、そうした駆け込み需要が日本経済にとって良いものなのかというのは微妙なところです。新たな需要が生まれるのであれば良いですが、ただ単に「2、3年間の需要が前倒しになるだけ」であれば、増税後に住宅市場は一気に「焼け野原」になるわけでむしろ弊害の方が大きいと言えます。
どんなビジネスでも人員やキャパシティには物理的な限界があるわけで、需要が均等化する方がありがたいのは間違いありません。
もちろんそれは消費者にとっても同様ですね。駆け込み需要に参戦することはある意味、「お盆やゴールデンウィークに旅行に行く」のと同じで、遅い・高い・マズイ(かどうかは分かりませんが)ということで顧客満足度が上がるはずがありません。
となると政治としてもこの駆け込み需要をなるべく均等化させようとする動機が生まれてくるわけですが、いよいよこの「駆け込み需要対策」の議論が始まったようですね。日経新聞の記事から引用するとこういうことのようです。
・住宅では現在、購入資金の借入残高に応じて税負担が10年間で最大500万円軽くなる住宅ローン減税を拡充する考え。19年10月の消費増税後に減税額を一時的に引き上げる案や、21年12月末までの期間を延長する案などが浮上する。
8%増税時には「住宅ローン減税拡充+すまい給付金」の合わせ技だったわけですが、今度の10%増税時には
・住宅ローン減税額の拡大
・住宅ローン減税の延長
の2つの案が浮上しているということですね。どちらも住宅購入者にはハッピーに響きますが・・・よく考えるとこの2つは全然違いますね!
前者の「拡大」の場合は、最大500万円の減税メリットが増えるわけですから、消費税増税に伴うコストアップが完全に吸収される可能性があります。
一方、後者の「延長」の場合は、慌てて購入しなくてもいいという安心感は得られるかもしれませんが、しかしメリットが増えるわけではないため、増税インパクト自体は1円たりとも減りません。とすると、やっぱり「駆け込む人は駆け込む」ということになりますよね・・・。
果たしてどちらに転ぶのかは分かりませんが、数年以内にマイホーム購入を検討されている方は、この議論の結末をしっかり見届けていただければと思います。
なおその内容はともかく、一定の配慮がなされること自体は間違いないと思います。こうした国民にメリットになることに反対する政治家はいないからです。その陰で着実に国の借金は増加しているわけですが・・・。
ちなみに「まだ1年以上先の話だし焦らなくてもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。新築物件などは契約してから入居する前に数ヶ月〜数年かかる場合があり、これまでの例に倣えば「半年前までに契約すれば、入居は増税後になっても8%のままでOK」といった特例措置が適用される可能性が高く、そうなると実質的な「締め切り」は2019年秋ではなく、その半年前の「2019年3月末」となる可能性が高いのですね。
何としてでも増税前に購入したい、という方はマイホーム購入計画を半年前倒しで進めていただければと思います。
ただし。
当サイトが増税前の購入をお勧めしているかと言えばそうではありません。冒頭ご案内したように、消費税は土地やほとんどの中古物件に掛からないことを考えれば実際のインパクトはそれほどではありませんし、仮に住宅ローン減税額が拡充されれば「増税後に購入した方がお得」となるケースも十分考えられます。
さらに仮に住宅ローン減税が拡充されなくても、2019年秋以降、「駆け込み需要の反動」で需要が多少落ち込むとすると、不動産に値崩れが起こり、「増税額以上に物件価格が安くなる」という事態も考えられます。
いずれにしても大切なことは、そうした細かなコストの変動に右往左往するのではなく、「自分や家族が一生住みたい」と思える物件を見つけ出すことですね。慌てて購入して、「こんなはずじゃなかった」と住み替えが必要になってしまえば、増税インパクトを大きく凌駕する追加コストが発生するのは間違いありません。
その点では住宅ローン減税の拡充を期待しつつ、消費税増税をあまり意識せず、じっくり・しっかりマイホーム選びをされることをオススメしたいと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>