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住宅市場を取り巻く環境を振り返るとずっと追い風になってきているのが住宅ローンの低金利ですね。2013年の「異次元緩和」開始以降、住宅ローンは大きく低下してきました。
2016年秋のイールドカーブコントロール開始以降、長期金利の変動幅は「−0.1%〜+0.1%」となり、2018年7月以降「−0.2%〜+0.2%」に拡大されましたので、住宅ローン金利も多少は上昇するものと思いますが、それでも絶対水準自体は低いままであり、追い風は今後も続いていくと考えられます。
また手厚い住宅ローン減税や「すまい給付金」など公的支援も充実していますね。
加えて「追い風」と言ってはいけないのかもしれませんが、大きな「きっかけ」となるのが2019年10月に予定されている消費税の再増税です。あと1年ですね!相応な規模の駆け込み需要が起こるのは間違いありません。
そのように考えると今度、住宅市場が盛り上がる可能性は高そうですし、事実そうなるのではないかと思いますが、一方向かい風と言えるのが住宅価格の上昇傾向ですね。久しぶりに国土交通省が発表している住宅価格指数をチェックするとこうなります。
確かに赤線で示されている「住宅総合」指数は上昇傾向にあることが分かります。約1割程度上昇しているイメージでしょうか。ただその内訳をみてみると大きく上昇しているのはマンションですね。こちらは約4割上昇しています。
逆に「住宅地」や「戸建て住宅」はほとんど全く上昇していないことが分かります。その点では「住宅価格上昇」の影響は限定的ということですね。
では実際に消費者は今、住宅を買い時と思っているのかどうか、そして住宅価格は上がると思っているのかどうかチェックしてみたいと思います。出典は不動産情報サイト「ノムコム」が実施した「住宅購入に関する意識調査」で、不動産の購入検討者であるノムコム会員が対象です。
まず「今、不動産は買い時だと思うか」という点についてはこのような回答結果になっています。
「買い時だと思う」「どちらかと言えば買い時だと思う」という回答は明確に減少していますね!ここまでハッキリ退潮傾向となっている調査結果は少ないと思いますので興味深いです。
ではその「買い時だと思わない」理由はと言うとこうなっています。
前回調査と比較すると「不動産が高くなった」という回答は減少する一方で、「今後、不動産価格は下がると思われる」という回答は増加しており、「買い時だと思わない」という方は「不動産価格がピークアウトした」という感覚を持ち始めているのかもしれませんね。
実際に「今後、不動産の価格はどうなるかと思いますか?」という回答結果はこうなっています。
「上がると思う」という回答が明確に減少する一方、「下がると思う」という回答が明確に増加していますね。ノムコム会員の方は今後の不動産価格に悲観的であることが分かります。
とは言いつつ上記の通り上昇しているのはマンション価格だけであり、この回答結果が世の中一般の感覚ということではないのでしょうね。
アンケート結果をチェックしていくとこのような記述もあります。
・マンションに住みたい方 : 514名
・一戸建てに住みたい方 : 201名
その点ではこの調査は概ね「マンション購入希望者の買い時感」と解釈してもいいのかもしれませんね。
念のため住宅金融支援機構の「買い時感」調査をチェックするとこうなります。
こちらは「買い時だと思う」という回答が高止まりしていますね。世の中全体の「買い時感」としてはこちらの方が正しそうです。
そうしたわけで住宅価格全体が下がる見込みというわけではなさそうですが、特にマンション購入を検討されている方は4割程度の価格下落リスクを頭の片隅に入れておいていただければと思います。
来年秋の消費税増税に向けて、住宅市場がどこまで盛り上がっていくのか注目ですね。参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>