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昨年と同じ書き出しとなりますが、住宅ローンの借り換えや借り入れを検討するに当たって悩みどころの1つは「金利タイプ選び」です。変動金利タイプにするのか、全期間固定金利タイプにするのか、はたまたその間をとって固定金利期間選択型=当初固定金利タイプにするのか、という選択です。
それによって借入先も変わってきますから「最大の悩みどころ」と言ってもいいかもしれませんね。
合理的には、今後の金利見通しに基づいて最も得となりそうなものを選ぶのが良いということになります。こういうことですね。
・金利が「大きく」上昇する → 全期間固定金利
・金利が「それなりに」上昇する → 固定金利期間選択型
・金利が「わずかに」上昇するか、そもそも金利は上昇しない → 変動金利
ただし。
問題は・・・未来の金利動向を正確に予想することなど誰にもできないということですね!
予測を諦めるとすると、最も金利が低い変動金利タイプが選択肢となってくるかと思いますが、ただ金利上昇リスクが気になります。実際、専門家のアドバイスを読むと口をそろえてこういった文言が並んでいます。
「今の低金利がずっと続くはずがない」
「変動金利が7%や8%の時代があった」
「金利が上昇するときは急なので対応できない」
こうした言葉を聞くとやっぱり固定金利がいいか・・・と思ってしまいますね。ではこれまでの金利はどのように推移してきたのでしょうか?過去30年の長期金利の推移をチェックするとこうなっています。
日本の金利は90年代後半からずっと低金利状態にあるわけですね!つまりこの20年間まともに金利が上昇したことはなかったわけで、さらに住宅ローンの平均的な完済期間は15年程度ですから、この20年間に住宅ローンを利用した人は一度も金利上昇を経験したことがないまま完済してしまったことになります。
このように金利が低い理由は景気循環ではなく、少子高齢化などの構造的なものが要因であるのは間違いありませんから、このままずっと金利が低い状態が続く可能性は十分あります。
未来の金利動向を正確に予想することは不可能なのは申し上げた通りですが、一方で専門家が口をそろえて指摘する「金利上昇リスク」を過度に恐れるのもどうかということですね。これまでの金利推移を把握した上で冷静に金利タイプ選びを進めていただければと思います。
では具体的にどういった金利タイプがみんなに選ばれているのかと言うと、信頼できるデータの1つが住宅生産団体連合会が発表した「2017年度戸建注文住宅の顧客実態調査」です。あくまで注文住宅購入者の方々のデータとなりますが、その金利タイプはこのようになっています。
2015年度、2016年度、そして今回の2017年度を比較すると各金利タイプのシェアはこのように変化していることが分かります。
・変動金利 : 57.1% → 48.4% → 55.8%
・全期間固定金利 : 23.6% → 24.0% → 22.0%
・固定金利期間選択型 : 15.4% → 23.4% → 19.2%
・ミックス型 : 3.0% → 2.5% → 2.2%
・その他 : 0.9% → 1.7% → 0.9%
やはり変動金利タイプが圧倒的な1位であるということですね!金利上昇リスクを考慮しても絶対的な低金利が魅力ということなのでしょう。前年からもシェアを回復していますね。
一方、最近は各行があまり「固定金利期間選択型」に力を入れていないせいか、シェアの低下が目立ちます。
結局、全期間固定金利タイプは2割前後のシェアで安定し、残り8割を変動金利タイプと固定金利期間選択タイプとで争う構図ということでしょうか?もちろんシェアの割合で言えば変動金利タイプの圧勝ですが。
ちなみに。
当サイトのお勧め金利タイプは変動金利タイプではなく、実は「変動金利+固定金利」のミックス金利タイプだったりします。これなら変動金利のメリットも固定金利のメリットも半分ずつ享受することができます。
言い換えれば変動金利のデメリットも固定金利のデメリットも半分ずつ残るということではありますが・・・。
ではその「ミックス型」のシェアはどうなっているかと言うと、2.2%と引き続き超マイナーな存在ですね!残念なことです。
確かに日銀の「異次元緩和」、「マイナス金利」、「イールドカーブコントロール」、「フォワードガイダンス」、さらには「低いままのインフレ率」を考慮すれば金利が上昇していくイメージは全く持てませんので、ミックス金利タイプへの関心が高まらないのは当然かもしれませんが、ただ一方で固定金利のシェアは結構あるわけですからね。もう少しシェアが上昇してもいいのでは?と思うのは・・・記者だけなのでしょうね。
みんなが選ぶ住宅ローン金利タイプが必ず正しいというわけではありませんが、真剣に悩みぬいた上での選択であることを考えれば重みがあります。
なお他の調査ではこうした住宅ローンの金利タイプシェアはどうなっているかと言うと、国土交通省が金融機関にヒアリングした調査結果はこのようになっています。
年度によって多少のバラつきはあるものの変動金利タイプが5割前後のシェアを維持していることが分かります。
次に住宅金融支援機構が金融機関に対してヒアリング調査した結果はこうなっています。
こちらは変動金利タイプのシェアがもう少し高く6割前後ですね。2016年度に5割に下がりましたが2017年度には再びシェアが回復しているのではないかと思います。
3つ目は国土交通省が住宅購入者に対してアンケート調査を行ったもので、結果はこのようになっています。
こちらは平成29年度=2018年3月期のデータですから最新ですが、引き続き変動金利タイプが6割と人気を維持していることが分かります。
どの調査結果を見ても変動金利タイプ人気は明白ですね。
これから住宅ローンの金利タイプを選ぼうとされている方は参考になさってください。
また、それでも金利上昇リスクが気になるという方は固定金利タイプもいいですが、上記の通りミックス金利タイプの活用も検討してみてはいかがでしょうか。
<日本住宅ローンプランニング編集部>