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先日、国土交通省が発表した「民間住宅ローンの実態に関する調査」を取り上げました。気になる金利タイプについてはこうなっていました。
他の調査と比較すると多少の乖離はあったものの、それでも変動金利型の人気は鮮明ですね。
>>>国土交通省の民間住宅ローン実態調査2019年版 金利タイプランキングは?
そして今回は、これまた毎回取り上げている「住宅ローンの審査項目」に関するアンケート結果です。
住宅ローン利用者として、金利や手数料を比較して最も有利な住宅ローンを選ぶのは当たり前ですが、一筋縄でいかないのは住宅ローンには審査があって、誰にもいくらでも貸してくれるわけではないという点です。
一般論から言えば「金利が低い住宅ローンほど審査に厳しい」のは間違いありません。
なぜなら、誰かが「住宅ローン破産」した場合の銀行側の損失も金利に織り込まれているため、低金利を維持するためには徹底的にリスクの高い申し込みを排除していくしかないからですね。
審査に落ちてしまった方の気持ちを考えるととても残念ですが、ただそうは言いつつ当サイトは「銀行の審査結果に素直に従うべき」という立場です。「破綻せずに最後まで完済したい・してほしい」という点では銀行と顧客の利害はピッタリ一致します。審査に落ちるには審査に落ちる理由があるからで、そこをごまかしたり、目をそらしても意味がありません。
もし審査結果がNGなら、自身の借り入れ条件をしっかり見直すべきですね。
・・・しかし。
問題は、残念ながら審査結果がNGになった理由を銀行が開示してくれることはまずないという点です。銀行側からすれば審査の細かな条件を開示してしまうと、そこを狙った質の悪い申し込みが増えてしまうため仕方ないと言えますが、顧客からすれば大いに不満を感じるのは当然です。
そんなベールに包まれている住宅ローン審査の実態ですが、この国土交通省の調査データは数少ない、その審査項目が分かるものですので、住宅ローン利用者としてはやはりチェックしておきたいですね。
前置きはそれくらいにして、実際の「融資を行う際に考慮する項目」を過去4回の調査結果と比較するとこのような推移になっています。
1位 : 健康状態 96.3% → 98.4% → 97.6% → 95.7% → 98.6%
2位 : 借入時年齢 97.6% → 97.5% → 97.6% → 95.6% → 98.3%
3位 : 完済時年齢 99.3% → 99.3% → 98.8% → 97.2% → 97.7%
4位 : 担保評価 96.3% → 97.8% → 97.2% → 95.5% → 97.2%
5位 : 勤続年数 95.9% → 96.4% → 97.2% → 92.7% → 95.7%
6位 : 年収 95.6% → 94.8% → 94.4% → 93.6% → 95.6%
7位 : 連帯保証 90.3% → 92.6% → 93.5% → 92.8% → 94.9%
8位 : 返済負担率 96.6% → 87.4% → 88.0% → 82.6% → 90.7%
9位 : 金融機関の営業エリア 91.9% → 92.4% → 89.9% → 87.0% → 90.3%
10位 : 融資可能額(融資率)購入の場合 91.6% → 90.7% → 81.3% → 78.1% → 79.6%
11位 : 雇用形態 74.9% → 77.1% → 78.2% → 72.2% → 75.7%
12位 : 融資可能額(融資率)借換えの場合 91.5% → 88.4% → 76.3% → 94.4% → 73.1%
13位 : 国籍 63.1% → 64.9% → 61.9% → 67.6% → 68.9%
14位 : カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 85.6% → 77.5% → 64.8% → 59.0% → 63.1%
15位 : 申込人との取引状況 64.8% → 59.5% → 49.1% → 45.9% → 47.2%
16位 : 業種 42.5% → 38.4% → 29.4% → 29.2% → 29.1%
17位 : 家族構成 29.5% → 29.9% → 23.1% → 23.5% → 21.7%
18位 : 雇用先の規模 32.8% → 30.1% → 16.7% → 22.2% → 20.0%
19位 : 所有資産 24.4% → 23.5% → 20.4% → 21.7% → 18.9%
20位 : 性別 19.8% → 21.1% → 16.1% → 16.1% → 15.1%
21位 : その他 10.1% → 6.6% → 6.6% → 5.2% → 3.9%
※順位が上昇したものが赤字
昨年5位に急浮上した「融資可能額(融資率)借換えの場合」が今年は12位に逆戻りしたために全体的に押し上げられ、順位アップが目立ちますね。
この「融資可能額(融資率)借換えの場合」については前々回が76.3%、前回が94.4%、そして今回は73.1%ということで、突然増加し、突然元に戻ったことが分かります。
1,200近い金融機関の回答結果ですから、一部の回答の偏りによるものではないですね。2016年のマイナス金利に伴う借り換えの大幅な増加が2017年の金融機関の審査姿勢に影響し、2018年の調査結果に反映された、ということですかね。
言い換えればその「借り換えブーム」もすでに収束したということなのでしょう。
全体的には安定して見える審査項目ですが、細かく見れば世相を反映させた動きがあると言えそうです。
さて90%以上となっている項目は「ほぼ必須」とすると以下8つということになります。
・健康状態
・借入時年齢
・完済時年齢
・担保評価
・勤続年数
・年収
・連帯保証
・返済負担率
・金融機関の営業エリア
毎回そうですが、「年齢」や「健康状態」など、お金に関すること以外の項目がトップ3を占めているわけで意外に感じるかもしれませんね。「若くて健康であれば、少々住宅ローンの返済が苦しくなっても頑張れる」ということなのでしょうか・・・。
一方、下位の項目を見てみると、住宅ローン審査に関わる「ツボ」としてよく語られる「カードローンなどの他の債務の返済状況」ですが、14位=63.1%と、意外と低位ですね。3分の1の金融機関は「考慮していない」わけです。
業種も雇用先の規模もしかりです。「どういった会社に勤めているか」よりも「勤続年数」の方がはるかに重要と言うことなのであれば、後者は概ね自分の問題ですので勇気づけられる結果なのかもしれません。
加えて、例えば80%を切るような項目については、ある金融機関の審査は通ったけれどある金融機関の審査は通らないといった「矛盾」が日常的に起こっていそうです。そうした「不幸な審査NG」に備えて複数の金融機関の住宅ローンに申し込んでおくことが重要ですね。
また万が一、住宅ローン審査に落ちた場合もそうしたマイナーな理由かもしれませんので、気にせずぜひ次の金融機関にチャレンジしてみてください。
もちろん冒頭ご案内したように、審査に落ちた事実を素直に受け入れ、自身の申込内容を見直す姿勢も大切ではありますが・・・。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>